納涼・サンティアゴ・カラトラバ特集①:ついに見た、AI画像のようなバレンシア「芸術科学都市」

Pocket

 7月にバルセロナに行ってきたことは、すでにいくつかの記事で報じた。実は滞在中に1日だけ、新幹線(AVE)に乗ってバレンシアに行ってきた(往復約6時間)。ずっと見てみたかった「芸術科学都市」を見るためだ。

(写真:宮沢洋)

 設計者はスペインを代表する建築家で構造エンジニアでもあるサンティアゴ・カラトラバ。1951年生まれで今年72歳。安藤忠雄の10歳下で、隈研吾の3歳上。意外に若い。それでも、「現代のガウディ」と称されるほど世界で引っ張りだこだ。

(似顔絵:宮沢洋)

 気づいてみると、筆者(宮沢)はカラトラバの代表的な建築をけっこう見ている。この人の大ファンというわけでもないのだが、カラトラバの建築は、写真を見ると「見てみたい!」と思わせるのだ。どれもリゾート感がハンパない。猛暑日が続く今日この頃なので、筆者が撮ったカラトラバ建築の写真でひんやりしてもらいたい。

 まずは、バレンシアの「芸術科学都市」へ。

 うーむ、まるで画像生成AIでつくった写真のよう。違う。全部リアルである。

 敷地は過去に大洪水を起こしたため、付け替えられて公園となったトゥリア川の川床。30万m2の巨大敷地に、オペラハウス、IMAXシアター、科学博物館、水族館などが並ぶ。そのなかで水族館「オセアノグラフィック」だけはフェリックス・キャンデラ(1910年~1997年)の設計で、その他はすべてカラトラバの設計だ。1996年に建設が始まり、1998年4月16日にプラネタリウム・IMAXシアターが開館。2005年にすべての施設が完成した

右端がキャンデラの水族館。他はすべてカラトラバ

 筆者の感想は置いておいて、ひとまず写真を見てひんやりしてほしい。以下のテキスト(太字部)はウィキペディアからの引用。

ソフィア王妃芸術宮殿(El Palau de les Arts Reina Sofía) – オペラハウス、および劇場(パフォーミングアーツ・センター)(下の写真)

レミスフェリック(L’Hemisfèric) – 13,000m2の広さのIMAXシアター、プラネタリウム、レザリアム(下の写真)


ルンブラクレ(L’Umbracle) – 散策路、バレンシア固有の植物種の植えられた庭園、オノ・ヨーコらの彫刻のある彫刻庭園(下の写真)

フェリペ王子科学博物館(El Museu de les Ciències Príncipe Felipe) – 科学博物館、40,000m2の広さでインタラクティブな展示を行う(下の写真)

オセアノグラフィック(L’Oceanogràfic) – ヨーロッパ最大の水族館。この部分のみフェリックス・キャンデラの設計で、100,000m2の敷地に野外型の飼育・展示施設があり、500種以上の大小の海洋生物がいる(下の写真)

説明にあるとおり、水族館はカラトラバの設計ではない
水族館はシェルの名手として知られるキャンデラ(1910年~1997年)の設計

芸術科学都市は大きな池に囲まれており、昼間から夕方にかけて市民の憩いの場になっている。フェリペ王子科学博物館の屋外にはバーが営業しており宵にはにぎわう。

 ウィキペディアには説明がなかったが、水族館と博物館の間に、「アゴラ」という多目的施設と吊り橋がある。どちらも、いかにもカラトラバ。

 次回はバルセロナに戻り、モンジュイックの丘からリポートする。(宮沢洋)

納涼・サンティアゴ・カラトラバ特集
②:41歳の出世作「モンジュイック・タワー」は記憶に残る儚さ
③:リオの「明日の博物館」に見る“カラトラバ五原則”の吸引力
④:”世界一美しい駅“といわれるNYのオキュラス、でも日本には欲しくない理由