【速報!】池袋建築巡礼03:学会賞建築家によるこだわりホテル、「hotel Siro」が面白い

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 このホテル、我がOffice Bungaの事務所から徒歩2分ほどのところにあり、建設中からずっと気になっていた。設計者は2020年の日本建築学会賞作品賞を受賞した原田真宏、原田麻魚両氏。2人が共同主宰するMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOによる「hotel Siro」の内覧会が、6月20日(土)13時~17時に行われた(正確には、まだ行われている)。

(写真:宮沢洋もしくは磯達雄、以下も同じ)

 場所は、東京都豊島区池袋2-12-12。東京メトロ副都心線・池袋駅C6出口から徒歩3分ほど。池袋に詳しい人なら「ああ、あのラブホテル街ね」と思うだろう。だが、ラブホテルではない。かといって普通のビジネスホテルでもないし、単なるオシャレ・シティホテルとも違う。オープンする前に私がレッテル張りするのもどうかと思うので、写真でその新感覚を味わっていただきたい。

 まずは基本データから。

<建築概要>
建築設計 : MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO
グラフィックデザイン : KIGI
構造設計 : 三原悠子(Graph Studio)
設備設計:テーテンス事務所
施工 : 藤木工務店 東京支店
構造 : 鉄骨造
規模 : 地上10階建て
敷地面積 : 170.78㎡
建築面積 : 107.18㎡
延床面積 : 962.47㎡

 そして、場所。

 外観は、それほど奇をてらったなものではない。だが、外部階段のバリエーションを見れば、普通の建築家ではないことが分かる。

 内覧会は上から回った。

 まずは最上階(10階)の部屋。

 写真奥に見える階段は、屋上につながる。

 屋上ではグランピングが楽しめる。

 8階以上の部屋は、客室内もMOUNT FUJIの設計。外廊下から引き戸を開けて入る。

 外廊下側の開口部がなんと障子!

ちょっと怖いけど上りたくなる階段

 交流をうながす外部階段。片持ちでちょっと怖いけれど、上り下りしたくなる。

 7階以下の客室は、MOUNT FUJIのデザインではない。8階以上と同じように屋外の片廊下だが、入り口は引き戸ではなく、マンション風の開き戸。

 1階エントランスホールと喫茶スペース。

 MOUNT FUJIにとって、本格的なホテルの設計はこれが初めてだ。渋谷の「TRUNK(HOTEL)」(2017年)で外観デザインなどの監修を行ったことはあるが、今回はそれとは異なり、事業面にも踏み込む深い設計提案だった。「声を掛けられたとき、私たちの考えるような開かれたプランが実現できないならば、設計を引き受けないと話した。こういう立地なので、普通のことをやってもラブホテルだと思われてしまう」(原田麻魚)。確かに、そんな覚悟がなければこんなタブー満載(?)のホテルは実現できなかっただろう。

 本格オープンは7月初旬の予定だが、先行宿泊を受け付けている。そんなに高くはないので、出張でも泊まれる。

 具体的な料金はホテルの公式サイトを見てほしい。

 「前泊してOffice Bungaで打ち合わせ」という方には、今後、このホテルをお勧めしようと思う。打ち合わせが午後ならぜひ後泊を。人に薦めやすいホテルができて本当に良かった!(宮沢洋)

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