渡辺豊和が「仮面劇の建築化」という言葉を書いたのは、1976年の「中内邸」発表に際してだった。この手法に依拠することで「1½吉岡邸以後の久方ぶりの設計であったせいもあって〈中略〉また違った方法を探り出せるのではないかと […]
「ポストモダニズムの歴史」by倉方俊輔
では、「平和な時代の野武士達」が当時の建築界に与えた影響は、どのようなものだっただろうか。 まず、前回に述べたように、その内容は1941年生まれの安藤忠雄や伊東豊雄を論じたものではない。扱われている建築家は、1937 […]
2023年4月に始まったこの連載では、日本の建築史の中に「表層期」を発見した。1977〜81年の建築の実作と言説は「表層」への着目によって特徴づけられる。 具体的な考察はまだ終えていないが、ここまでに明らかになったこ […]
前回に論じた谷口吉生ともう一人、表層という時代のテーマを境界面から問題にした重要人物に原広司がいる。 1981年に発表された文章を読もう。まさに「境界論」と題された論考は、次のように始まる(注1)。 「はじめに、閉 […]
谷口吉生は、境界面を問い続けてきた建築家である。「金沢市立図書館」(現・金沢市立玉川図書館、1978年)について、1979年に谷口吉生は「内と外とが、たえず一方が他方の仮像となって感知されるような曖昧性のある空間である […]
前回、丹下健三と槇文彦について見ていったように、1977〜81年には皆、「表層」に憑かれたのだった。それぞれの建築家の中心思想や世代論を越えたその拡がりから、引き続き、この時代の建築を捉えたい。 黒川紀章の「利休ねずみ […]
前回から続く。 1977年、初めてタイルを外装に使ったヒルサイドテラスが完成した。1969年に完成した最初のA棟・B棟の外壁は打ち放しコンクリートだった。これは1973年に第2期としてC棟が竣工した際に、それと同じ吹付 […]
作品としての存在感を表層が担っている建築が、1977年ころから幅広く見られるようになる。今回からは、それらにどんな共通点があり、違いは何かを考えていきたい。
1977〜81年の建築を特徴づけているのは「表層」である。それ以前には等閑視されてきたこの対象に、多くの建築家が目を向けた。 「表層」とは、どのようなものなのだろう? 1972年に美術批評家の宮川淳は、それが「ほとん […]
前々回、長谷川逸子と伊東豊雄とが最接近した日時を1978年6月と特定した。この月に雑誌発表された伊東豊雄の「PMTビル」(1978年)と長谷川逸子の「焼津の文房具店」(1978年)は、ともに「表層」を駆使して都市的な建 […]