この見え方は今だけの「クウェート大使館」、建て替え着手は否定

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 「ニュース」が「今を伝える」という意味であるならば、築50年で今も変わらぬ姿であっても、その“見え方”が「今こそ」のものであれば、ニュースとして伝える価値があるだろう…。と、まわりくどい前振りになったが、「在日クウェート大使館」が今、こんなふうに見えている。

 敷地は東京・JR田町駅から西に徒歩10分ほどの住宅街。1970年に丹下健三の設計で完成した。「再開発で手前のビルがなくなり、こんなによく見えるようになった!」とネット上でざわついているので、見に行ってみた。

空中庭園の“抜け”がよく見える!

 地下2階・地上7階・塔屋2階、高さ25.4m、延べ面積4137㎡。規模はそれほどでもないが、造形が凝りに凝っている。

 外観は前面道路からでもよく見えるが、近くからの見上げだと、途中階の空中庭園の“抜け”がよく分からない。

 それが再開発によって巨大な更地ができ、東方向の「札の辻」陸橋から、見事な遠景が拝めるようになった。

 在日クウェート大使館は、「昭和モダン建築巡礼」でも取材候補に考えたのだが、「大使館だから内部の撮影は無理だろう」としり込みしてしまい、大使館にアプローチはしていなかった。だが、この遠景を見ると、「いつか空中庭園に上がりたい」というリベンジの念が湧き上がってくる。

 この建物は、2017年に一度、老朽化による建て替え計画が報じられた。当時の報道では「2020年4月」完成予定だったので、今ごろは新しい建物になっていたところである。建て替えの着工はいつになるのかを大使館に問い合わせると、「確かに以前に建て替えを公表したが、現段階ではその予定はない」とのこと。「現段階では」という限定つきながら、すぐに取り壊されることはなさそうだ。リベンジの機会はあるかもしれない。

 丹下都市建築設計のプロジェクトページはこちら。(宮沢洋)

所在地:東京都港区三田4-13-12