高架下の“ストリート建築展”で隈研吾氏や永山祐子氏の進行中模型を展示、「杉並建築展」に行ってみた

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 JR高円寺駅とJR阿佐ケ谷駅の間に位置するイベントスペース「高架下空き倉庫」で、「杉並建築展 2024 あらわれる風景」が2月23日から開催されている。会期は3月3日(日)まで。つまり今週末で終わってしまうので、興味のある人は急いで見に行ってほしい。入場無料だ。

(写真:宮沢洋)

 このイベント、筆者は初めて見に行った。建築家と地域社会をつなぐことを目的に、2016年から毎年開催されているという。主催者は杉並建築展実行委員会。JIA杉並地域会のサイトでは「地域や地元から始まる建築や都市をめざして、ストリートで開催する建築・まちづくり展」と紹介されていた。「ストリートで開催する」という表現がまさにその通りで、高架下の通り道に、入り口を開け放した状態で開催されている。会場にスタッフはいるが、「どうぞ勝手に見てください」という束縛感のなさがいい。

 出展者は下記の皆さん。

永山祐子建築設計
日本大学理工学部建築学科 古澤大輔研究室
隈研吾建築都市設計事務所
RFA / 藤村龍至
NASCA / 桔川卓也
久保都島建築設計事務所/久保秀朗+都島有美

工藤浩平建築設計事務所
TAKiBI / 栃内秋彦
横井創馬建築設計事務所・セカイ/横井創馬
takayuki.bamba+associates / バンバタカユキ
後藤周平建築設計事務所

flat class architects
SIA / 香月真大
小沼計画
メタボルテックスアーキテクツ
中村竜治建築設計事務所 / 中村竜治
KIRI ARCHITECTS / 桐 圭佑
PERSIMMON HILLS architects + 飛騨の森でクマは踊る

oXAD / 山岸大助 + 飯村慎建築設計

会場構成:小沼計画
ポスターデザイン:メタボルテックスアーキテクツ

 当初は「杉並区とその周辺を拠点とする建築家による展示」だったようだが、現在はそのくくりに縛られずに出展者が広がっている。名前をよく聞く若手・中堅にまじって、隈研吾氏のような大御所も参加している↓。隈氏の事務所は港区だが、進行中のプロジェクトが杉並区にあることから参加したようだ。

 あちこちで引っ張りだこの永山祐子氏が、2025年大阪関西万博のパビリオンを2つ展示しているのにも驚いた↓。新宿区に事務所がある永山氏がなぜ出品しているのだろうと思ったら、彼女は阿佐ヶ谷出身だとプロフィルに書いてあった。

 隈氏や永山氏のプロジェクトも特別視せず、さらっと置いているのがストリートっぽい。どの展示もことさら一般向けに柔らかく説明しているわけではなく、一般の人にもリアルな最先端を知ってほしいというスタンスの展示が、クールな高架下空間にマッチしている。

杉並建築展2024 あらわれる風景
開催期間:2024.2.23(金)~3.3(日)
時間:9:00~18:00 (最終日のみ16:00まで)
会場:高架下空き倉庫(JR高円寺駅-阿佐ケ谷駅間)
166-0004 東京都杉並区阿佐谷南2-36

 ちなみに、会場の「高架下空き倉庫」を運営しているのは、本サイトの「高架下建築図鑑」↓に協力いただいているジェイアール東日本都市開発である。高架下の利活用を見る意味でも行って損はない。(宮沢洋)