読まれた記事ベスト3は「中之島美術館」「グラスハウス転生」「ドライブ・マイ・カーの謎」──2022年PVランキング+α

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 明けましておめでとうございます。2023年も建築ネットマガジン「BUNGA NET」をよろしくお願いいたします。新年1本目は、2022年の年間PV(ページビュー)ベスト10。出し惜しみせず、1位から行きます。

◆1位
「大阪中之島美術館」ついに開館、建築雑誌泣かせのブラックキューブと静謐な巨大洞穴(2022年1月31日公開)

(写真:特記以外は宮沢洋)

 2022年最注目の建築だろうと思い、自腹で大阪まで内覧会を見に行ったのが1月。「パッサージュ」と名付けられた室内の共用部がすごくいい。巨大な洞窟のような変則的な吹き抜けは新たな体験だ。こんなに読まれた(いまだに読まれる)ので行った甲斐があった!

◆2位
学会賞受賞「グラスハウス」が大胆改修、オープン直後のサプライズ見学記──津山ルポ後編(2022年5月18日公開)

 閉鎖されていると思って見に行ったら、再開した直後で、しかもかつてのプールではなくなっていた、という棚ボタのスクープ記事。

◆3位
映画「ドライブ・マイ・カー」が証明した谷口吉生氏「広島市中工場」のすごさ──建築シネドラ探訪番外編(2022年3月1日公開)

(イラスト:宮沢洋)

 さまざまなエピソードが「伏線」として回収されていく「ドライブ・マイ・カー」の中で、広島市環境局中工場(設計:谷口吉生)については、ここを舞台にした理由が明確には説明されない。そこで、勝手にその意味を考えてみた、という論考。カギは、みさきがごみの山を見ながら言う「花びらみたいでしょう」というセリフ。

◆4位
池袋建築巡礼12:【速報】「池袋マルイ」跡地には地上28階建ての店舗(低層部)+事務所が2025年末竣工、設計・施工は清水建設(2022年8月5日公開)

 「他のメディアでは読めない」もしくは「どこのメディアよりも早い」をモットーにしているこの「BUNGA NET」の真骨頂ともいえる記事。近隣説明会の当日に公開し、たぶん、その後もどこのメディアでも報じていない。

◆5位
大阪の新生・藤田美術館が開館、隣接する公園との見事な一体感は今後のヒント(2022年4月1日公開)

 以前に藤田館長と対談した縁で、開館初日に見に行って、その日に公開した。速報ながら、“展示を見終わった後”の動線が素晴らしい、となかなか的を射たことを書いており、自分を褒めたい。

◆6位
第4次「ガチャ」ブームに乗って「隈研吾シリーズ」登場、全4種を大人買いしてみた!(2022年2月9日公開)

 「わけあって数日前から、自宅の6畳間に閉じこもっている。体は元気なのだが、取材に行くことができない」という書き出しで始まるこの記事。ご想像どおり、家族がコロナ陽性となり、家に引き込もっていた。それでもこんなに読まれる記事が書けたのは、隈研吾氏のメジャー感の賜物。

◆7位
中銀カプセルタワーより早かった丹下流メタボリズム、「静岡新聞・静岡放送東京支社」が見えない耐震補強で再生(2022年7月14日公開)

 こんなに変わった形の建築を、全く見た目を変えずに耐震補強した大成建設に拍手。どうやって補強したかはこの記事を。

◆8位
東京海上ビルの建て替えと保存論議から「建築の終活」を考える(2022年5月30日公開)

(写真:大塚光太郎)

 東京海上ビルの記事を何本か掲載した中で、一番読まれたのは東京大学生産技術研究所の大学院生、大塚光太郎君のこの記事だった。大塚君、ブラボー。

◆9位
新潟県三条市に隈建築が相次ぎオープン、ふんわり系図書館「まちやま」と、びっくり系仕上げの「スノーピーク スパ」(2022年8月3日公開)

 自称「隈研吾ウオッチャー」として、新潟県三条市の2つの建築をリポートした記事。「スノーピーク スパ」は、外観もさることながら浴室が素晴らしいのだが、アポなしで行ったため浴室の写真が撮れず残念。

◆10位
葛西臨海水族園の新館PFIはNEC・大建設計・鹿島らが落札、一見地味な外観は現施設へのリスペクト?(2022年8月27日公開)

(東京都のサイトより)

 自称「谷口吉生ウオッチャー」でもあるので、葛西臨海水族園の話題はしつこく追い続けている。どうやら完全な解体はなさそうだが、まだ油断はできない。

いまだに読まれるロングライフ記事3本

◆おまけ
 実は、単純にPVだけでランキングすると、2021年以前の記事でトップ10に入る記事がある。特に読まれたのは下記の3本。

速報:内藤廣氏設計「紀尾井清堂」を見た! 都心の一等地に「機能のない」光の箱(2021年7月28日公開)

 昨年も読まれたが、今年はそれ以上に読まれた。2022年3月から「奇跡の一本松の根」展が開催されており(2023年2月9日までの予定)、建物名の検索でこの記事が引っかかるためか。

中銀カプセルタワービル解体へ、メディアが取り上げない「3つのこと」2021年8月23日

 この記事は昨年1位だった。今年も解体が始まった春ごろから検索流入が増加。

代々木競技場が重要文化財内定、「世界初の二重の吊り構造」を世界一わかりやすく解説します!(2021年5月21日公開)

(イラスト:宮沢洋)

 これも「代々木競技場」「重要文化財」で検索するといまだに上位に入る。実際、分かりやすい記事なので、すごさがピンとこない人はぜひ。

 ちなみに、前年の2021年に読まれた記事ベスト10はこちら

 それでは、今年も刺激になる記事、ほっこりする記事がたくさん書けるように頑張ります!(宮沢洋)