日曜コラム洋々亭54:「新宮晋+レンゾ・ピアノ展」@中之島美術館を見て勝手に提案、“2人展”ならこの企画をぜひ!

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 大阪中之島美術館で7月13日から開催されていた「Parallel Lives 平行人生 — 新宮 晋+レンゾ・ピアノ展」を最終日の9月14日に駆け込みで見てきた。筆者(宮沢)はレンゾ・ピアノの大ファンである。展覧会の評判を聞いてずっと見たかったのだが、大阪に行く機会がなく、京都の日本建築学会大会に絡めてようやく見ることができた。

 行けなかったみなさん、会場内はこんな感じでした。いいでしょう。

 「平行人生」という言葉の弱さはどうかと思ったのだが、芸術家の新宮晋氏とレンゾ・ピアノ氏の2人を並べる趣向はとてもよかった。単独展では見えないものが浮かび上がってくる。

雑誌的な複数人展に、編集者の血が騒ぐ…

 20年前に比べると、建築の展覧会はすごく増えた。今週だけでも2本記事を書いた。

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 それぞれ建築家ならではの見せ方のこだわりがあって、なるほど、と思う。それらがセルフプロデュース型だとすると、本展の2人フィーチャーは“雑誌型”だ。雑誌の特集を考えるのに似ている。1年前に佐賀県立博物館で、「建築の建築―日本の「建築」を築いた唐津の3巨匠―」を見たときにもそう思った。「3巨匠」というのは、唐津出身の辰野金吾と曽禰(そね)達蔵、村野藤吾だ。

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この年表がすごかった!

 これも3人をくくることで、考えてもみなかった辰野金吾と村野藤吾の関係性が浮かび上がる素晴らしい企画だった。

 複数人フィーチャー型の建築展はいろいろと広がりがありそうな気がしている。実は個人的にやってほしい、いや、やってみたい企画がある。編集者の血が騒ぐのである。

 それは「木村俊彦・川口衞展」だ。

木村 俊彦(きむら としひこ、1926年 -2009年5月27日 )は、建築構造家。建築家前川國男のアトリエ出身。半世紀に亘って数多くの建築作品に携わり、1980年代より槇文彦、篠原一男、磯崎新、原広司、安藤忠雄ら著名建築家の作品の構造設計を手掛けた。

川口 衞(かわぐち まもる、1932年10月21日-2019年5月29日)は、日本の建築構造家、構造エンジニア。坪井善勝の下で国立代々木競技場構造設計に参画。構造設計では建築構造と造形のあり方や、新しい構造技術の開発を主眼として構造設計活動を展開している。
(いずれもウィキペディアより)

 どうです? これ、絶対に面白いと思いませんか。うちでやりたい、というミュージアムの方や関係団体の方、ぜひお声がけください。もちろん私を巻き込まなくても構いませんので、できれば図録づくりだけでも参加させてください。…という、このコラムを借りての企画提案でした。いつか実現するかもしれないので、皆さん記憶の片隅に。(宮沢洋)