越境連載「建築シネドラ探訪」12:田村正和「協奏曲」、突っ込みつつもキムタクとの師弟関係には納得

 俳優の田村正和さんが亡くなった。私が目にした記事の1つに、「唯一無二の刑事像を作り上げた」というフレーズがあった。これは、誰もが知る刑事ドラマ「古畑任三郎」を指しているわけだが、私の中では俳優・田村正和は「唯一無二の建築家像を作り上げた」人である。1996年放送のドラマ「協奏曲」のことだ。とはいえストーリーをほとんど忘れてしまっていたので、四半世紀ぶりに見返してみた。

(イラスト:宮沢洋)

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コロナ夏の必見展01:「丹下は知ってる」なんて言わせない! 驚異の丹下健三展@国立近現代建築資料館

 去年の今ごろは、まさか2年続けてコロナ制限の夏になるとは全く想像していなかった。五輪中継も「建築」がちっとも映らない(代々木競技場をもっと映して!)。それでも、昨年は建築系の展覧会がほぼ全滅だったのが、今年はかなり復活している。建築好きは、早めにこれらで“栄養補給”して夏を乗り切ってほしい。感染者も増えているので、「いつか見よう」は禁句である。

 筆者が実際に見て「これは建築好きには楽しい」と感じた展覧会を紹介していく。まずは筆者イチオシの「丹下健三 1938-1970」から。

(写真:宮沢洋、以下も)
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速報:内藤廣氏設計「紀尾井清堂」を見た! 都心の一等地に「機能のない」光の箱

 「使い方は出来上がってから考えるので思ったように造ってください」──。クライアントである一般社団法人倫理研究所の理事長から内藤廣氏へのリクエストだ。うーむ、自分だったらそれは困る。どうするのか。内藤氏が出したちょっと意外な答えを、今日の見学会でたっぷりと体感した。

(写真:宮沢洋、以下も)
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師弟対決の軍配は? 妹島和世氏「水明」@浜離宮庭園、江戸と現代をつなぐ3000分の1勾配の“大河”

 「パビリオン・トウキョウ 2021」の師弟対決、前回の石上純也氏「木陰雲(こかげぐも)」に続き、今回は妹島和世氏による「水明(すいめい)」である。ともに中国の史書に出てきそうなタイトルをつけるのもやっぱり師弟だなあ、とまずはそこから感心してしまう。

「水明」。手前から奥に向けてゆっくりと流れている(写真:宮沢洋、以下も)
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21年度の「日本建築大賞」が募集開始、なぜBUNGA NETでこの告知?

 2021年度の「JIA日本建築大賞」などを決める「日本建築家協会優秀建築選2021」の作品募集が始まった。応募締切は9月3日(金)だ。今年度は筆者(宮沢)が審査委員の1人を務める。審査会のメンバーは下記の5人だ。

・佐藤 尚巳(建築家)
・堀越 英嗣(建築家)
・原田 真宏(建築家)
・田原 幸夫(建築家/建築保存再生学)
・宮沢 洋(編集者)

 なぜ著名建築家ずらりの中で宮沢が?と思われるかもしれないが、この賞の審査委員には伝統的にメディアの人が1人含まれるようだ。数年前には相棒の磯達雄もやっており、おそるおそるではあるが引き受けてみることにした。どうして「おそるおそる」かというと、最終審査が「公開」だからだ。ボキャブラリーを磨かねば…。

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師弟対決の軍配は? 石上純也氏「木陰雲」@kudan houseは空を切り取る“もう1つの庭”

 なるほど、こうきたか…。凡人(私)の想像を裏切り続けるこの発想、さすが石上純也氏である。

(写真:特記を除き宮沢洋)

 今回の五輪で、コロナ禍は別の話として、「このままでは建築が盛り上がらない」と思っていた人は多いと思う。日経ビジネスの記事(新旧五輪施設プロセス比較、コロナで緩和された「がっかり感」)にも書いたように、いわゆるアトリエ建築家で新設競技施設を手掛けたのは隈研吾氏1人。日本に7人いるプリツカー賞受賞者は誰も設計に関わっていない。これでいいのか日本? そんなモヤモヤを建築界からでなく、アート界から晴らしてくれたのがこのイベント「パビリオン・トウキョウ 2021」である。

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越境連載「五輪施設考@日経ビジネス」05:無観客でも満席に見える 「未来予知」と話題の国立競技場を疑似体験

 オリンピック・パラリンピックとも原則「無観客」での開催となり、隈研吾氏が設計の中心になった国立競技場が、「まるで無観客開催を予知していたかのようだ」とSNSがざわついている。当初予定では4回だったこの連載だが、5回目として、無観客となったことでかえって注目が高まっている国立競技場を、50枚の写真で疑似体験していただきたい。

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2019年12月15日に行われた竣工式典の様子。このときも、無観客でも満席のように見えた(写真:宮沢 洋)

青木淳+昭和設計による松本平陸上競技場の基本設計を長野県が発表、開かれたプロセスにも注目

 長野県は7月16日、AS・昭和設計共同体が設計を進める「松本平新陸上競技場」の基本設計を県のホームページで発表した。「AS」は青木淳建築計画事務所が社名変更したもの。昨年7月24日、公募型プロポーザルで、青木淳建築計画事務所・昭和設計共同体として当選した。国体対応の競技場だが、大会時よりも「日常」の使われ方を重視した提案が話題を呼んだ。

今回、公表された基本設計のイメージパース(資料:長野県、以下も)
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日曜コラム洋々亭32:「人生初」連発、『隈図鑑』レビュー記事ベストファイブ

 書籍『隈研吾建築図鑑』が5月11日に発売になってからちょうど2カ月。五輪はグダグダだが、隈さんへの関心は引き続き高いようで、2度目の増刷の知らせがあった。初の単著なので、売れていることはもちろんうれしい。それに加えて、いろいろな書評欄で取り上げてもらっていることがすごくうれしい。

憧れの「散歩の達人」にも!

 短い書評であっても、自分では気付かなかった点が指摘されていてハッとしたり、クスッとしたりする。特に印象的だった5つを掲載順にまとめてみた。

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越境連載「建築シネドラ探訪」11:「食べる」「語る」喜びを伝える新しい形の建築ドラマ「名建築で昼食を」

 「名建築で昼食を」は2020年8月16日から10月18日まで、BSテレビ東京およびテレビ大阪の「真夜中ドラマ」枠で放送されたテレビドラマである。建築巡りが趣味の植草千明(田口トモロヲ)と、おしゃれなカフェ開業を夢見る春野藤(池田エライザ)が毎回1つの建築を見て回り、並行して物語がゆっくりと進んでいく。

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(イラスト:宮沢洋)

中大規模木造への第一歩! BUNGA総出で臨んだNCNの『木構造ガイドブック』完成

 『木構造ガイドブック:WOODEN STRUCTURE GUIDEBOOK』の制作をOffice Bungaでお手伝いした。発行元は「SE構法」で知られるエヌ・シー・エヌだ。

全64ページ、A4版、オールカラー。デザインはキガミッツの森田恭行氏。エヌ・シー・エヌは希望者に無料配布している(写真:宮沢洋、特記を除き以下も)
 
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池袋建築巡礼10:「東京芸術劇場」(後編)、2度の改修で知る大御所・芦原義信の挑戦心

 「前振りの小ネタに」くらいの気持ちで見に行ったワンコイン・パイプオルガンコンサートが面白くて、前回はその話だけで終わってしまった。記念すべき連載第10回となる今回は、「東京芸術劇場」(1990年竣工、設計:芦原義信)の建築的挑戦について書きたい。

(写真:宮沢洋、以下も)
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池袋建築巡礼09:「東京芸術劇場」(前編)、バッハも仰天のエンタメ・パイプオルガンを500円で堪能

 「灯台下暗し」とはまさにその通りで、私(宮沢洋)は池袋にこんな“世界唯一”があるとは今まで知らなった。池袋西口のシンボル、「東京芸術劇場」(1990年竣工、設計:芦原義信)の大ホールにあるパイプオルガンのことだ。いや、パイプオルガンの存在自体はこの施設ができたときから知っていた。そのパイプオルガンがこんなにエンターテインメントなものであることを30年間知らなかったのである。

ガラス屋根から光が差す東京芸術劇場のアトリウム。アトリウム内は2012年に香山壽夫氏の設計で改修された。大ホールは左手のエスカレーターを上った先にある(写真:宮沢洋、以下も)
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越境連載「イラスト名建築ぶらり旅」02:「塔博士」もびっくりの絶景タワーホテル

 「タワー6兄弟」という言葉をご存じだろうか。「塔博士」とも呼ばれ、早稲田大学教授で構造エンジニアの内藤多仲(たちゅう)氏が設計の中心になった6つのタワーのことを言う。長男は「東京タワー」を想像してしまうが、そうではない。今回取り上げる名古屋テレビ塔だ。

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(イラスト:宮沢洋)

越境連載「建築シネドラ探訪」10:映画「パラサイト 半地下の家族」、韓国の格差を物語る「なぜか高い位置」の地下トイレ

 非英語圏の映画として初のアカデミー賞「作品賞」受賞。65年ぶりのアカデミー作品賞・カンヌ最高賞ダブル受賞──。そんなニュース報道で、ほとんどの人がタイトルとあらすじは知っているであろう韓国映画「パラサイト 半地下の家族」。この映画は「地下室」、特にその「トイレ」に着目して見ると、韓国の格差社会や日本との意識の差がより深く分かる映画である。

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(イラスト:宮沢洋)

越境連載「隈研吾ツアー3本勝負」03:3年で隈建築が6件!「新聖地」へと急上昇中の茨城県境町を巡る

 「隈研吾の建築の集積地」と聞いたら、多くの人が思い浮かべるのは高知県の梼原町(前々回紹介)か、栃木県の那須周辺(前回紹介)だろう。今回は、それらの背中を猛追し、追い抜かんとしている茨城県境(さかい)町を紹介する。

さかいサンド(写真:宮沢洋)

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越境連載@日経ビジネス/五輪施設考03:代々木競技場は世界遺産級、まさに「レガシー」残した1964東京五輪

 前東京五輪の水泳競技会場として建設された国立代々木競技場(1964年竣工、当時の名称は国立屋内総合競技場)が、国の重要文化財となることが内定した。今年5月21日、文化審議会(佐藤信会長)が同施設を重要文 化財に指定するよう、萩生田光一文部科学相に答申した。同施設は第一体育館、第二体育館の2棟から成り、2棟ともが対象。答申通り告示されれば、重要文化財の中で最も新しい建造物となる。

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(写真:宮沢洋)

新生・長野県立美術館で「宮崎浩展」開幕、渾身の「つなぎ方」を展示とリアルで実感

 施工段階でリポート(こちらの記事)を書いた信濃美術館建て替え工事が「長野県立美術館」となって4月に開館。6月19日(土)から、設計者である宮崎浩氏(プランツアソシエイツ代表)の設計手法を紹介する展覧会「長野県立美術館メイキング・ドキュメント つながる美術館 宮崎浩とランドスケープ・ミュージアム」が始まった。会期は8月15日(日)まで。

会場の長野県立美術館。正面奥は既存の東山魁夷館(写真:宮沢洋、以下も)
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越境連載@日経ビジネス/五輪施設考02:1人の天才よりチーム力、東京五輪「3大アリーナ」の魅力

 今回の五輪のために新設された大規模施設は、前回紹介した「国立競技場」のほかに3つある。これらはいずれも屋根で覆われた全天候型の競技施設で、関係者の間では「3大アリーナ」とも呼ばれている。

 続きは日経ビジネス電子版で(こちら)。

(写真:宮沢洋)

越境連載@日経ビジネス/五輪施設考01:「幻のザハ案」があって実現した高コスパの隈流「国立競技場」

 五輪は「スポーツの祭典」であると同時に「建築の祭典」でもある──。2013年9月にオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まったときには、そんな書き出しで熱い開幕リポートが書けると信じていた。過去を振り返れば、五輪によって歴史に刻まれた名建築は実に多いからだ。

 続きは日経ビジネス電子版で(こちら)。

(写真:宮沢洋)

越境連載「隈研吾ツアー3本勝負」02:那須巡りで知る隈研吾・再ブレイクの理由

 コロナ禍での自粛期間が長い中、コロナ禍が明けて、国内旅行を計画するなら、建築を巡る旅はいかがだろうか? 6月18日から東京国立近代美術館で始まる「隈研吾展」を前に、書籍『隈研吾建築図鑑』の取材メモから、3つの“隈研吾ツアー”を紹介するLIFULL HOME’S PRESSの連載の2回目。

(写真:宮沢洋)

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祝・増刷決定!『隈研吾建築図鑑』、著者の想いを凝縮した「あとがき完全版」を特別公開

 今年5月11日に発刊された書籍『隈研吾建築図鑑』の増刷が決定した。出版業界用語でいえば「重版出来(しゅったい)!」。建築の書籍で、発売から1カ月足らずで重版となるのはかなり珍しい。

 以下、まだご覧いただいてない方のために、発売直前の5月6日に公開した記事を再公開する。「そんなに面白いの?」と疑わしく思っている方は、まずはこの「あとがき」を読んで値踏みしていただきたい。(ここまで2021年6月4日追記)

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こちらも再開!「イサム・ノグチ 発見の道」展@東京都美術館、「関係のデザイン」を知る

20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチ(1904〜88年)の業績を紹介する東京都美術館の展覧会「イサム・ノグチ 発見の道」は、緊急事態宣言を受けて開幕翌日から臨時休館となっていたが、6月1日から再開した。会期は8月29日まで。東京工業大学修士課程に在籍する加藤千佳さんが本展をリポートする。(ここまでBUNGA NET)

イサム・ノグチ《ヴォイド》1971年(鋳造 1980年)和歌山県立近代美術館(写真:加藤千佳、以下も)©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713
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再開決定(よかった!)、 建築展の可能性を開くアアルト展@世田谷美術館は6月20日まで

 ここ1週間ほど、小池百合子都知事が都内の美術館再開にGOを出すのかどうか、ドキドキしながら待っていた。それによってこの記事のトーンが「いよいよ再開!」なのか「せめて写真だけでも」になるのか、ガラッと変わってしまうからだ。

会場の世田谷美術館 (写真:宮沢洋、以下も)
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越境連載「隈研吾ツアー3本勝負」01:隈研吾って何がすごいの? 聖地・高知県梼原町で「パラパラ感」を体験

 生活情報サイト「LIFULL HOME’S PRESS(ライフルホームズプレス)」で、書籍『隈研吾建築図鑑』の発刊を記念した宮沢洋の短期連載が始まった。同書の取材メモの中から、“隈研吾ツアー”形式で3回にわたって記事をお届けする。初回は高知県梼原(ゆすはら)町を巡る。

梼原町の「雲の上の図書館」(写真:宮沢洋)

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<追加情報>第6弾のカフェもオープン!─隈建築が茨城県で続々完成、「茶蔵」「さかいサンド」など境町の5件全部見た!

 隈研吾建築図鑑』(2021年5月11日発刊)では、茨城県境(さかい)町の隈建築群を巡ってリポートしているが、その本には間に合わなかった新施設「HOSHIIMONO100Café」が5月27日にオープンした。以下、2020年9月30日に本サイトで公開した記事の後半に、新施設の情報を青字で加えた。(ここまで2021年5月28日追記)

2021年5月27日にオープンした「HOSHIIMONO100Café」の外観(写真提供:境町)

 「隈研吾氏の建築の集積地」と聞いたら、思い浮かぶのは高知県の梼原(ゆすはら)町だろうか。あるいは栃木県の那須周辺だろうか。それらの背中を猛追し、追い抜かんとしているのが茨城県境町である。まずは竣工年順に外観を全部見てみよう。

「さかいサンド」。2018年10月オープン(写真:宮沢洋、以下も)
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越境連載「イラスト名建築ぶらり旅」01:重要文化財で北欧のオープンサンドはいかが?─大阪府立中之島図書館

 日本最大の設計事務所である日建設計が一般向けに発信する珍しい連載がスタートした。連載タイトル は「イラスト名建築ぶらり旅 with 宮沢洋&ヘリテージビジネスラボ」。同社が運営する「note」にて、近現代建築の魅力的な活用事例を紹介するもので、保存再生を専門とする新領域開拓部門「ヘリテージビジネスラボ」が主導する企画だ。月に1度、年内いっぱい継続する予定。初回は「大阪府立中之島図書館(旧・大阪図書館)」をリポートする。

(イラスト:宮沢洋)

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