電車から見る建築① 山手線:品川-渋谷 合理性と非合理性が織り成すカオスを味わう

 東京大学生産技術研究所の大学院生、大塚光太郎君の持ち込み企画である。企画書を見て、即連載決定。苦しい角度から撮った建築写真の刹那性に萌える!(ここまで宮沢洋)

(写真:大塚光太郎、以下も)

 人間と同じで、建築も会うたびにその表情を変える。東京タワーが好きな筆者は歩いている時や、運転中、電車に乗りながらなど様々なシーンでその姿を眺めてきたが、やはりそのどれも見せる表情は違う。歩きながら見上げると、そそり立つ人工建造物としての存在を強く感じるし、首都高速からは、ビルの間をかき分けた先に現れる演出のおかげで一層格好良く見える。

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越境連載「イラスト名建築ぶらり旅」09:三線三様の光る柱でオシャレに「脱・迷宮」──東京メトロ銀座駅

 仕事帰りに、東京メトロ銀座駅で地下鉄を乗り継ぐと、改札やホームの内装がガラッと変わっていた。2020年10月のことだ。ネットで調べてみると、ちょうどその日が新デザインのお披露目日だった。銀座線→日比谷線ホーム経由→丸ノ内線と地下鉄を乗り継いだ。気づいたのは、銀座線の改札階。あれ、柱が黄色く光ってる! 近寄ってみると、こんな模様だ。

(イラスト:宮沢洋)

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夏休み間近、中高生に読ませたい「隈研吾」と、小学生と読みたい「水族館」

 午前中に区営プールに泳ぎに行ったら、もう夏休みなのかと思うくらいたくさんの小学生が泳ぎに来ていた。確かにこれだけ猛暑日が続くと大人も子どもも気分は夏休みだ。そんな気分のなか、友人から先ほどこの写真を送ってもらい、書き忘れていた夏のネタを思い出した。

 書店に平積みされた夏休みの課題図書コーナーである(目黒の有隣堂にて撮影とのこと)。「サイがいなくなってしまう」ではなく、もっと左の方を見てほしい。

 「建築家になりたい君へ」(隈研吾著)である。表紙のイラストは、著者の隈さんのご指名で私が描いた。この本は河出書房新社から昨年の2月に発刊されたもの。私は表紙のイラストを描いただけなのであまり宣伝していなかったのだが、この本が第68回青少年読書感想文全国コンクール「高等学校の部」の課題図書に選定されたのである。

 私は高校時代に読書感想文全国コンクールなるものに応募したことがなかったので、「課題図書に選ばれた」という知らせを今年の春ごろに出版社からもらったときに、「ああ、良かったですね」くらいにしか思っていなかった。

 しかし、上の書店平置きの写真を見ると、これって建築界にとってもかなり意味のあることではないかと思い、ちゃんとお知らせすることにした。

 今回は「高等学校の部」の課題図書に選ばれたわけだが、隈さん自身は中学生を想定して書いたものである。なぜなら、河出書房新社の「14歳の世渡り術」というシリーズの第二弾だからだ(第一弾は「科学者になりたい君へ」佐藤勝彦著)。

私が出版社からいただいた初版

「M2」で知った「建築家は長距離走者」

 課題図書に選ばれるくらいだから、読みやすくて面白い。私が感心するのは、成功している建築家の人生訓なのに、「自慢臭さが極めて薄い」ということである。それは、そうだ。自分が高校時代に隈さんのプロフィルを見たら、「栄光学園→東京大学→建築家? オレは既に無理」と思う。そういうふうに他人事と思わせないように、要所に挫折体験がちりばめられている。

 中でも、「M2」(1991年)について回想する「建築家は長距離走者」というパートの書きっぷりは潔い。一部を引用するとこんな感じだ。

 僕もそうでしたが、若い頃は誰でも、早く有名になりたくて、人をびっくりさせるような建築を作ってみたいという気持ちになります。いわば短距離走のスタートに立ったような感じで、まわりを何も見ずに、猛ダッシュしてしまうのです。すると、すぐに息があがってしまいます。

 ほら、読みたくなるでしょう。なかなかこんなふうに、自分のことを引いては書けないものである。さすが。

 誰が読んでも面白いかは分からないが、建築関係を意識している中高生には薦めたい本である。別に増刷になっても私に印税が入るわけではない。これはピュアなお薦めである。

10歳から80歳まで面白がれる水族館ガイド

 ピュアではないお薦めも少々。まさに夏休み向けの1冊が7月下旬に発売となる。「イラストで読む建築 日本の水族館 五十三次」(青幻舎)。

 これは、私がOffice Bungaの仲間たちと書いたイラストガイドブックだ。青幻舎のサイトにある予告を引用すると…。

 これまで水族館は、建築家の晴れ舞台といえる美術館・博物館・図書館などに比べて、建築的視点で語られることは多くありませんでした。本書は、水族館が、大人から子どもまで幅広い世代が建築を体感し楽しむことができる、貴重な存在として注目し、最先端技術やさまざまな工夫までイラストとテキストでわかりやすく解説し、建築的魅力を伝えるものです。

 隈さんは14歳に向けて建築の面白さを書いたが、私は10歳から80歳まで面白がれるように「水族館建築」の奥深さを書いた。その詳細は、もう少し発行が近づいたら、改めてこのサイトで。(宮沢洋)

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「名護市庁舎」が更新検討の基礎調査を開始、「画文家」の自分にできること

 SNSでこの情報を見て「ウソだろう」と思った。だが、ネットで調べてみると、市のサイトに本当に載っていた。「名護市庁舎等更新検討に関する基礎調査業務委託に係る公募型プロポーザルの実施について※参加表明書類の提出は締め切りました」と書かれている。自分に何ができるかを考え、この記事とこのマークをつくってみた。

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夏の建築展03:早稲田の建築家展へ急げ、木製模型の情念が気づかせる建築家たちの真意

 弾丸建築展巡り3件目は、国立近現代建築資料館のある湯島から千代田線と東西線を乗り継いで早稲田へ。私(宮沢)の母校、早稲田大学早稲田キャンパスにある「會津八一記念博物館」で開催中の「早稲田建築 草創期の建築家展」だ。会期は6月2日〜7月15日。すでに半分が過ぎてしまったので、すぐに予定表に書き込んだ方がいい。この展覧会は早稲田関係者はもちろん、“普通に建築が好き”な人にとってもきっと面白い。

(写真:宮沢洋)
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夏の建築展02:「情熱と現実の間」に悩んだメタボリストの記録、「こどもの国」のデザイン展@ 国立近現代建築資料館

 「SUEP.展」を乃木坂のTOTOギャラリー・間で見た後は、千代田線で東に15分ほどの湯島駅へ。駅から5分ほど歩くと、湯島天神の向かいにある「国立近現代建築資料館」(湯島地方合同庁舎内)に着く。ここでは“一般の人にもとっつきやすい”SUEP.展とは対照的な“建築好きですら受け取り方に悩む”展覧会が行われている。6月21日に始まった「『こどもの国』のデザイン ー 自然・未来・メタボリズム建築」展だ。

(写真:宮沢洋)
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夏の建築展01:ギャラ間のSUEP.(スープ)展は「エシカルな建築」を社会に発信するのに最適

 6月に入ってから都内で始まった3つの建築展をリポートする。いずれも内覧会や初日が出張と重なってしまい、既に他メディアで報道されているものもある。悔しい……。なので、得意の弾丸ツアー形式で、3件を効率的かつオーバーレイ的に見て回る。

(写真:宮沢洋)

 1件目は東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間(以下、ギャラ間)で6月8日から始まったSUEP.(スープ)の展覧会「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」だ。SUEP.は末光弘和氏と末光陽子氏が共同主宰する設計事務所。私は、この人たちが登場してから、食べ物のスープのつづりがいつも分からなくなり、その度に調べている(答えは「Soup」)。

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越境連載「建築シネドラ探訪」22:松坂桃李が演じる車いす建築家がリアル。恋愛より気づきのドラマ「パーフェクトワールド」

 以前、このコラムで田村正和、木村拓哉、宮沢りえが三角関係を演じるドラマ「協奏曲」を取り上げた。そのとき、「このドラマはもし『恋の駆け引き』がなかったとしたら、『建築家の師弟のドラマ』として、かなりのリアリティー感を持って記憶されただろう」と書いた。今回取り上げる「パーフェクトワールド」もそれと同様、「もう少し恋の駆け引きが薄目だったら…」と思わずにいられないドラマである。

(イラスト:宮沢洋)

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【追加写真あり】“名古屋シン木造御三家”弾丸ツアー、「ささしま高架下オフィス」は木造の選択に大納得

この記事をご覧になったタマディック(3番目に紹介)の広報の方から「建物内の写真を載せてもOK」と連絡があったので、1階エントランスホールの写真を追加した。(本文の青字部は2022年6月16日に加筆、黒字部は 2022年6月10日公開)

坂茂建築設計が設計した「タマディック名古屋ビル」 の1階エントランスホール(写真:宮沢洋)

 私(宮沢)が前職の日経アーキテクチュア編集部にいた頃には、「名古屋」×「木造」で思い浮かぶのは、河村たかし名古屋市長がぶち上げた「名古屋城天守木造再建計画」くらいだった。名古屋は木造とは縁遠い印象の都市だった。それがここ1年ほどの間に急変。立て続けに話題の木の建築3件が完成した。実際に見て回ると、どれも面白く、「これまでの木造のイメージを打ち破る」という意味で、私はこれらを“名古屋シン木造御三家”と名付けたい。なお、最初に言っておくが、すべてが構造上の木造というわけではない。

まずは新幹線高架下の木造オフィスへ

(写真:宮沢洋、以下も)
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風前の灯の坂倉準三「羽島市庁舎」、民間提案募集が「あるかも」と聞き、勝手に提案

 坂倉準三が設計した三重県の伊賀市旧庁舎(旧上野市庁舎)が「MARU。architecture」の設計で再生されるかもしれない、という記事を書いた(こちら)。それを書いていたら、坂倉の生まれ故郷、岐阜県羽島市にある「羽島市庁舎」(1959年竣工)の“最後の姿”を見たくなり、名古屋出張のついでに行ってきた。

(特記以外の写真:宮沢洋、2022年6月8日撮影)
左が新庁舎。2021年11月から供用を開始した
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越境連載「建築シネドラ探訪」21:映画「私の頭の中の消しゴム」、大ヒットの要因は“最強にモテる”建築家像

 この映画、私は勝手に“韓流3大建築家ラブストーリー”の1つと位置付けている。3大というのは、誰もが知る韓流ドラマ「冬のソナタ」、本連載でも取り上げた映画「建築学概論」、そして今回取り上げる映画「私の頭の中の消しゴム」だ。

(イラスト:宮沢洋)

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これぞ2色刷りの醍醐味、名作モダニズム建築のインスタ作品群をご覧あれ!〈作画解説付き〉

 書籍『画文でわかる モダニズム建築とは何か』(文:藤森照信、画:宮沢洋)発刊記念のスピンオフインタビュー(第1回第2回第3回)、お楽しみいただけただろうか。実は5月中、これとは別に、宮沢単独のスピンオフ企画を地味に展開していた。それが本日6月1日にフィニッシュを迎えたので、その一部を紹介したい。これ↓だ。

(イラスト:宮沢洋、以下同)
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東京海上ビルの建て替えと保存論議から「建築の終活」を考える

東京海上日動ビルの建て替えについては本サイトでも何度か記事にしてきた。
・日曜コラム洋々亭36:NOIZによる東京海上リノベ提案に刺激を受け、勝手にリノベ対決(追記:建て替えはレンゾ・ピアノ)/2021年10月3日公開
・「東京海上ビル」見学会で知った“王冠”の意味、「勝手にリノベ対決」はNOIZ案に軍配/2022年4月24日公開
なんとか解体を止められないのかという思いの一方で、個人的なノスタルジーを押し付けているだけではと感じる冷めた自分もいる。未来を担う若い世代はこうした話題をどう見るのか。東京大学生産技術研究所の大学院生、大塚光太郎君に4月24日に行われた講演会と見学会に参加してもらい、リポートしてもらった。(ここまで宮沢洋)

 建築の寿命は誰が決めるのか?

 天災などにより壊される場合を除けば、それは基本的には持ち主であろう。持ち主が壊すと言えばその寿命は尽きるし、売ってお金にするなり改修して使うなりすれば延命になるのかもしれない。いずれにせよ、その選択は持ち主が下すケースがほとんどである。

 1974年に完成した48歳の高層建築「東京海上ビルディング」(以下、海上ビル)はまさに今年、その命が尽きようとしている。

東京海上日動ビル(写真:大塚光太郎、以下も)
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藤森式解説03:日本建築→ライト→バウハウス→日本と情報はぐるぐる回る──「モダニズム建築とは何か」スピンオフインタビュー

藤森照信先生と私(宮沢洋)の共著『画文でわかる モダニズム建築とは何か』が彰国社から5月10日に発刊になった。この本は、藤森先生の著作『人類と建築の歴史』の一部を宮沢がイラスト化したもので、巻末に藤森先生へのインタビューを収録している。実はそのインタビュー、盛り上がり過ぎて全体の半分しか載せることができなかった。あまりにもったいないので、残り半分を本サイトで3回に分けて掲載することにした。今回がラスト。(書籍の詳細は彰国社サイトを)

宮沢:日本で戦後になってミースの影響を受けている人は、清家清さんぐらいしかいないんですか?

藤森:林昌二(日建設計)も大きくはミースでしょう。

宮沢:おお、そうですか。

藤森:林さんはガラス張りをやるでしょ。例えば、日建設計が毎日新聞社を設計したやつ…。ええっと。

宮沢:パレスサイドビル。

藤森:そう、パレスサイド。あの細い鉄とガラス。

宮沢:それは初めて聞いた見方ですね。パレスサイドビルの工業製品ぽい感じは、確かに。

藤森:そうそう。そういうガラスのやつは、林昌二のミース。

宮沢:なるほど。

藤森:だからミースの影響は東工大に流れている、と思っています。

宮沢:じゃあ、ミースの影響を受けた人は「ミースの影響を受けてます」ってあまり口に出さないってことですね。

藤森:現在だと「ミースの影響を受けた」ってバカバカしくて言えないじゃん。

宮沢:そうですか?

藤森:だってガラスの超高層ビルでミースの影響を受けてないのはないんだから。

宮沢:なるほど。

藤森:超高層ビルってミースの美学でできてるので、普通のビルは全部ミースの崩れなんです。

宮沢:確かに割合としてはミースなんですね。

藤森:いやいや、もうそれは圧倒的にミース。

宮沢:なるほど。

藤森:だから、世界の現代、20世紀建築を語るとしたら、原理はまずバウハウスで決まる。それがミースの超高層を生み出し、そのまま世界に広がるっていうことですよ。コルビュジエが出てくる隙はない。

世界で一番コルビュジエにハマる日本人

宮沢:コルビュジエはニッチだからなんか気になる、みたいな感じなんですかね?

藤森:そんな感じだね。ミースのことはわざわざ言わない。だってさ、妹島和世さんの建築は明らかにミース的ですよ。

(イラスト:宮沢洋)

宮沢:ああ、なるほど。

藤森:日本の場合はバウハウスからモダニズムが始まり、一時、中心がコルビュジエに移る。だけどまたミース的なものが静かにすーっと広がっている。日本人に向いてんだよね。

宮沢:確かに妹島さんの建築は言われてみればミースっぽいですね。曲線が多いので、あまりそういうふうに考えませんでした。

藤森:ミースが見たら案外、孫だと思うんじゃないでしょうか。

宮沢:妹島さんご本人は言及されたりしてるんでしょうか。

藤森:してないと思う。自分の事はそんな客観的に考えないよ。ミースの方が日本人に合ってるんですよ、ほんとに。コルビュジエってやっぱりこう、肉感的にぐわぁって感じでしょ。あれは日本人にはあまり向いてない。

宮沢:でも、主流にはならないけれど、ハマる人はすごくハマると。

藤森:そう、ハマる。世界で日本人が一番 コルビュジエ にハマっちゃう。

宮沢:ヨーロッパの歴史とか建築の本には、 コルビュジエ はそんなに載ってないという話を聞いたことがあります。

藤森:載っていない。だって実物がないからね、身の回りに。日本の場合は実物があるうえに、レーモンド、前川、坂倉、丹下、吉阪、磯崎、と、コルビジュエの影響ががーっと来ちゃうから。

バウハウスに影響を与えたライト、ライトに影響を与えた日本

宮沢:先生が設計するときにコルビュジエを部下にしたいという話がありましたが(書籍のインタビューに掲載)、ミースやグロピウスは呼びたくないんですか?

藤森:いいよ別に。来てくれなくてもできるもん。

宮沢:そうなんですか。実は私は、今回イラストを描くためにいろいろ調べて、グロピウスすごいなって、思ったんですけど。「ファグス靴工場」なんて、ほんとかっこいいなと思って。ここでモダニズム建築、完成してるじゃないか、と。

藤森:あれはライトの影響で作っていますからね

宮沢:へぇー。

藤森:プランがスーッと横に伸びてくっていうのは、ライトの影響を直接的に受けてるんですよ。

宮沢:そうなんですか。

藤森:そう。空間が横に伸びるっていうのを世界で最初にやったのはライトなの。ライトが日本の建築に学んでそれをやるわけ。それを絵にしてヴァスムート社が本にして出すわけ。それを見てミースやグロピウスとかバウハウスの連中が驚嘆するのよ。「箱が破られた!」と思うわけ。ヨーロッパは箱の連続だったけど、ライトは箱を破った。

 本から影響を受けるんですよね。それはすごく面白いことで、情報って建築の実物である必要はない、写真でも本でもいい。新しいあり方を心から探してる人には、ほんと1枚の写真、1枚の絵でいい。それを与えたのがヴァスムート社のライトの作品集だった。

宮沢:バウハウスの建築がライトの影響を受けているというのは、この本にも書かれていましたね。

藤森:それはドイツの人たちにもよく知られていることですよ。グロピウスやミースたちはライトのおかげで伝統的な箱から脱出できた。だから、ミースは本当にライトを尊敬していた。

宮沢:ミースがライトを。

藤森:ミースの評伝見ると面白いんだけど、アメリカに行くでしょ。まあ、ナチスに追われたというか。その時、ライトに会うのよ。感動するわけ。自分たちを導いてくれた先生に会えたって。ところがね、ミースは傷つく。なぜかっていうと、ライトが「おめーら」みたいな態度で、握手もしなかった。おめーら、俺のやり方を中途半端に盗んで、みたいな。ライトは面白くなかったんだと思う。ものすごく意固地な人だから、自分のやり方で自分が超えられたわけよ、ミースに。

宮沢:なるほど。

藤森:でも、ライトも偉いけどね。最後は逆にグロピウス達の真似をし始めますからね。グッゲンハイムなんてそうですよ。ガラスの連続窓を回転させる。だけど、ミースはライトと会ったとき、けっこう傷ついたって。ミースの評伝に書いてあった。

宮沢:ミースはライトをそんなに尊敬してたんですか。

藤森:日本の伝統的建築の流動的なプランがありますよね、ふすま一個でどうにでもなる。あれもライトが学んで、いっぱいやるわけですよ。それを本にしたものに影響を受けて、今度はグロピウスたちがやる。それで今度はバウハウスを通して日本に戻ってくる。ぐるぐるぐるぐる情報は回るんです。

宮沢:なるほど…。まだまだ聞きたいところですが、今日のお話はこの辺で。本日は長時間ありがとうございました!

初回から読む。

■書籍『画文でわかる モダニズム建築とは何か』 文 藤森照信、画 宮沢 洋。彰国社、A5判、128ページ、本体1900円+税。書籍の詳細は彰国社サイト

藤森式解説02:バウハウスにこだわり続けた清家清、バウハウスに揺れる丹下健三──「 モダニズム建築とは何か」スピンオフインタビュー

藤森照信先生と私(宮沢洋)の共著『画文でわかる モダニズム建築とは何か』が彰国社から5月10日に発刊になった。この本は、藤森先生の著作『人類と建築の歴史』の一部を宮沢がイラスト化したもので、巻末に藤森先生へのインタビューを収録している。実はそのインタビュー、盛り上がり過ぎて全体の半分しか載せることができなかった。あまりにもったいないので、残り半分を本サイトで3回に分けて掲載することにした。今回は2回目。(書籍の詳細は彰国社サイトを)

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越境連載「建築シネドラ探訪」20:三谷幸喜が見抜いた「妥協」という建築家の本質、映画「みんなのいえ」の教え

 前回、一切の「妥協」を許さない建築家の映画「摩天楼」について書いたので、それとは真逆の方向の映画を取り上げてみたい。NHK大河ドラマで話題の三谷幸喜が自ら脚本を書き、監督したコメディ映画「みんなのいえ」(2001年公開)だ。

(イラスト:宮沢洋)

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坂倉準三・伊賀市旧庁舎再生事業の交渉権者決定、「MARU。architecture」の参画でさらに期待

 市の発表から約1週間遅れになってしまったが、これはBUNGA NETとして書くべきニュースだと思い、遅ればせながら取り上げる。三重県伊賀市は5月17日、公募型プロポーザルを実施していた「伊賀市にぎわい忍者回廊整備(忍者体験施設等整備)」の優先交渉権者を伊賀マネジメントグループに決めたことを発表した。

改修後の旧上野市庁舎(伊賀市旧庁舎)外観イメージ(伊賀市の発表資料より。「画像は、事業者から提出された企画提案書に掲載された画像の一部であり、今後整備される各施設の実際の姿を示すものではありません」とのこと。以下のイメージ図も同)
忍者体験施設内観イメージ
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藤森式解説01:バウハウス越えを宣言した丹下健三「ミケランジェロ頌」の意味──「モダニズム建築とは何か」スピンオフインタビュー

藤森照信先生と私(宮沢洋)の共著『画文でわかる モダニズム建築とは何か』が彰国社から5月10日に発刊になった。この本は、藤森先生の著作『人類と建築の歴史』の一部を宮沢がイラスト化したもので、巻末に「補講2」として、藤森先生へのインタビュー「『神は死んだ』からの『原点ゼロ』を収録している。

実はそのインタビュー、盛り上がり過ぎて全体の半分しか載せることができなかった。あまりにもったいないので、残り半分を本サイトで3回に分けて掲載することにした。許可をいただいた藤森先生と彰国社に感謝。(書籍の詳細は彰国社サイトを)

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越境連載「イラスト名建築ぶらり旅」08:変わらず変わり続ける銀座のアイコン──三愛ドリームセンター

 東京・銀座のイメージといえば、多くの人が思い浮かべるのは「銀座4丁目交差点」ではないか。銀座通りと晴海通りが交差する場所だ。そして、この交差点の“顔”として頭に刷り込まれているのが「和光本館」と「三愛ドリームセンター」だろう。この2つの建物、デザインは全く違うのに、銀座に人々を迎え入れる“ゲート”のように見えてしまうのは私だけだろうか。

(イラスト:宮沢洋)


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越境連載「建築シネドラ探訪」19:ゲーリー・クーパーが天才建築家を演じる「摩天楼」はフランク・ロイド・ライトも距離を置いた問題作

 今回は連載初のモノクロ映画である(よってイラストもモノクロ調にした)。アメリカで1949年に制作された映画『摩天楼』だ。「建築家を主人公にした本格映画」の先駆けとされ、映画通の建築好きの会話の中でしばしば話題に上る映画だ。主演は名優、ゲーリー・クーパー。恥ずかしながら、私は見たことがなかった。見て、あ然とした。想像していた内容と全く違っていたのだ。

(イラスト:宮沢洋)

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学会賞受賞「グラスハウス」が大胆改修、オープン直後のサプライズ見学記──津山ルポ後編

 津山巡りの後編である。訪れたのはここだ。

(写真:宮沢洋、以下も)

 分かるだろうか。横河健氏の設計で1998年に完成した「グラスハウス」である。1999年度の日本建築学会賞作品賞を受賞した建築だ。前回の記事(大改修後の「津山文化センター」を見学、“日本的RC四天王”が導いたサプライズ)とは別の意味で、大きなサプライズだった。

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大改修後の「津山文化センター」を見学、“日本的RC四天王”が導いたサプライズ

 自分は割と約束を守る方の人間だと思う。約束を守るとこんないいことがある。

(写真:宮沢洋)

 背景の建物は、岡山県津山市の「津山文化センター」。中央の俳優のような男性は、文筆家で写真家で建築家でもある稲葉なおと氏だ。この写真がどうやって撮られたかについてはおいおい説明したい。

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加速するミュージアム・ダイバーシティを十和田市現代美術館&八戸市美術館で体感──「青森5館」全制覇・後編

 「青森5館(AOMORI GOKAN)」巡りの後編である。前回は5館のうち、
・弘前れんが倉庫美術館
・青森県立美術館
・青森公立大学 国際芸術センター青森

を巡った。今回(青森3日目)は残り2館を巡る。
・十和田市現代美術館
・八戸市美術館

 まずは、十和田市の「十和田市現代美術館」へ。これは有名過ぎて今さら恥ずかしいのだが、実物を見たのは初めてだ。

屋外彫刻はチェ・ジョンファの「フラワー・ホース」(写真:宮沢洋、以下も)
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「青森5館」全制覇! まずは田根剛/弘前れんが倉庫、青木淳/青森県美、安藤忠雄/国際芸術センターへ

 「青森5館(AOMORI GOKAN)」を全部言えるだろうか。私が勝手につくった造語ではない。2020年7月に設立された「青森アートミュージアム5館連携協議会」の取り組みだ。コロナ禍がずっと続いていて、まだ大きな連携イベントは行われていないようだが、5館の企画展の内容などが一度に見られるサイト(こちら)があって、これは便利だ。

 で、5館とは何を指すのか。建築好きならばスラスラ答えてほしい。公式サイトの並び順にいうと、こうなる。

・弘前れんが倉庫美術館
・青森公立大学 国際芸術センター青森
・青森県立美術館
・十和田市現代美術館
・八戸市美術館

 ゴールデンウイーク中に青森で仕事があったので、レンタカーを借りて5館を全部回ってみた。2泊3日のアート漬け&建築漬けの旅。その雰囲気を写真で紹介する(それぞれを詳しく論ずると大変なレポートになってしまうので、あくまで雰囲気レベルでご容赦を)。

5館巡りの1つめはここ(写真:宮沢洋、以下も)
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フジモリ先生との共著『モダニズム建築とは何か』、自信を持ってお薦めする理由は「疾走感」と「強い軸」

 藤森照信先生と私(宮沢洋)の共著『画文でわかる モダニズム建築とは何か』が彰国社から発刊される。大手書店には今週末あたりから並びはじめ、アマゾンではGW終盤から発送が始まるという。

アマゾンはこちら

『画文でわかる モダニズム建築とは何か』
文:藤森照信・画:宮沢洋。彰国社、2022年5月10日、A5判、128ページ、特色2色刷、1900円+税
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たぶん日本初! 約2時間のFM特番で「建築」を熱く語る、玄理×川原秀仁YPMC会長×西沢立衛、4月29日18:00~@J-WAVE

 「続編を楽しみにしています!」と本人には言っていたのだが、すごい形での続編となった。4月29日(祝)18:00~19:55放送のJ-WAVE(81.3FM)特別プログラムで、あの人が再び登場する。

右は女優で番組ナビゲーターの玄理(ヒョンリ)さん。左の人、誰だか分かりますか?

 以下、公式サイトの告知より。

J-WAVE SPECIAL
LANDSCAPE WONDER~ARCHITECT JOURNEY~
2022年4月29日(祝)18:00~19:55

 世界の建築にフォーカスするスペシャル・プログラム「LANDSCAPE WONDER」。今回は“ARCHITECT JOURNEY”と題し、旅をしてまでも見たい日本にある有名建築家の建築物について特集します。中でもル・コルビジェと彼が基本設計を手掛けた国立西洋美術館について注目。コメンテーターには“施設参謀“川原秀仁さんが登場。 

 宣伝臭くなるからか社名は書いていないが、「“施設参謀”川原秀仁さん」は、山下PMCの川原秀仁会長だ。

 昨年、半年間にわたり「LANDSCAPE WONDER」(本来は日曜午前の番組)にレギュラー出演した川原会長(当時は社長)のトークがうますぎる、と当サイトの「建築の愛し方」で独占インタビューした。かつてDJをやっていた過去などはそちらをご覧いただきたい。

建築の愛し方10:「J-WAVE」の建築面白解説者は“元DJ”の山下PMC社長、放送は残る2回!──川原秀仁氏

 そして、今回の特番の内容も面白そう。以下は、山下PMCのサイトより。

 さらに、プリツカー賞も受賞した建築家・西沢立衛氏をゲストで登場。「旅をしてまでも見てみたい建築」をテーマに語り合います。音楽通である川原が、番組のテーマに沿い、ゴールデンウィークのはじめにふさわしい選曲をいたしますので、あわせてお楽しみください。

 おお、世界の西沢氏も参戦……。何の話するんだろう。オスカー・ニーマイヤーの話をしてほしいな。

 川原会長は、トークよりもむしろ、2時間の選曲を自分でできるのがうれしくて仕方がないらしい。マニアックな曲、かけるんだろうな。選曲のうんちくも聞きどころ。

 私はFMラジオ好きで、ほとんど1日中FMを聞いているが、過去に「2時間建築の話だけをする」といった企画を知らない。おそらく日本で初めてなのではないか。FMを聞きなれない人も、話の種にこれは聞かねば。 J-WAVEの周波数は「81.3」です! (宮沢洋)

■番組概要
放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:J-WAVE SPECIAL LANDSCAPE WONDER ~ARCHITECT JOURNEY~
放送日時:2022年4月29日(金・祝)18:00~19:55
ナビゲーター:玄理
コメンテーター:川原秀仁(施設参謀)
ゲスト:西沢立衛(建築家)
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/holiday/20220429_sp/

※radikoなら1都6県、radikoプレミアム(有料)なら日本全国どこでも視聴可能。https://www.j-wave.co.jp/radiobar/

「東京海上ビル」見学会で知った“王冠”の意味、「勝手にリノベ対決」はNOIZ案に軍配

 4月24日、「東京海上ビルディングを愛し、その存続を願う会」が主催する講演会と見学会が開催された。ここでいう東京海上ビルディングは、前川國男の設計で1974年に完成した現・東京海上日動ビル本館のことだ。同社はレンゾ・ピアノ氏らの設計で、ビルを建て替えることを発表している。

エントランスホールの柱をめでる前川建築設計事務所の橋本功所長。柱のはつり仕上げは、彫刻家の流政之が指示したものという(写真:宮沢洋、以下も)
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予想通り「長野県立美術館」が学会賞・建築大賞をW受賞、そのすごさは周辺の劇的変化

 やはり、の結果だった。日本建築学会は4月19日、2022年の日本建築学会賞の各賞を発表した。「作品」部門の受賞は以下の3件(以下 敬称略、学会発表順)だった。

「旧富岡製糸場西置繭所」
齋賀英二郎(公益財団法人文化財建造物保存技術協会事業部保存管理計画担当技術主任)
斎藤英俊(京都女子大学名誉教授)
木村勉(長岡造形大学名誉教授)

「太田市美術館・図書館」
平田晃久(京都大学教授/平田晃久建築設計事務所)

「長野県立美術館」
宮崎浩(プランツアソシエイツ代表)

 何が「やはり」かというと、「長野県立美術館」が作品賞に選ばれたことだ。

(写真:宮沢洋、以下も)
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越境連載「イラスト名建築ぶらり旅」07:2度の大胆再生で気分はハリー・ポッター──茨城県立図書館

 入り口を入ると、まるでホグワーツ魔法魔術学校(ハリー・ポッターが通う学校)のような中世ヨーロッパ風の空間が出迎える。いきなりですが問題。この「茨城県立図書館」は、「図書館」になる前、何の建物だったでしょう? チッチッチッチッ……。

(イラスト:宮沢洋)

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越境連載@東芝エレベータ02:「チャーリーとチョコレート工場」─名作映画・ドラマの隠れた「主役たち」

 ウィリー・ウォンカがつくるチョコレートは世界中の子供たちに大人気だ。しかし、その工場に入った者は誰もおらず、製造法は秘密のベールに包まれていた。ところが、商品に同封された黄金のチケットを引き当てた5人に、工場見学が許される。ウォンカが案内するチョコレート工場の内部とは、果たしてどんなところだったのか、というストーリー。天才で変人の工場長ウォンカをジョニー・デップが演じている。(文:磯達雄)

(イラスト:宮沢洋)

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