ブラジルの巨匠パウロ・メンデス・ダ・ホッシャ死去、代表作の彫刻美術館はこんなにすごい

 建築界の大重鎮・内田祥哉(よしちか)氏が5月3日に96歳で亡くなったことが話題になっている。そちらは多くのメディアが書くと思うので他に任せ、BUNGA NETでは、日本とも関係のあったブラジル建築界の大重鎮・パウロ・メンデス・ダ・ホッシャ氏(ロシャと表記することも)の訃報を取り上げたい。

パウロ・メンデス・ダ・ホッシャ (Paulo Mendes da Rocha)氏の代表作「ブラジル彫刻美術館」(写真:宮沢洋、2020年2月撮影、以下も)
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「BUNGA NET」法人化、“遅咲き”の先達に学ぶ50代の指針

 5月24日に、株式会社ブンガネット(BUNGA NET)を登記した。役員は筆者(宮沢洋)1人で、これから宮沢の肩書は「BUNGA NET代表兼編集長」となる。Office Bungaはこれまで通り、磯達雄、長井美暁との共同の場として継続する。「BUNGA NET(法人)⊂ Office Bunga」という関係だ。これまでと何かが大きく変わるわけではないが、法人格を持つことで引き受けることのできる仕事の幅が広がる。

 筆者は1967年生まれで今年54歳だが、今風にいうと「スタートアップ」となったわけだ。この言葉、「ベンチャー」と何が違うのかとずっと気になっていた。改めて調べてみると、どうやら「イノベーションがそこにあるか」という違いらしい。BUNGAは設立理念として「建築・都市・デザインに関する専門的な情報をかみくだいて広く伝え、生活者・ 専門家それぞれの心身の充実に貢献する」と掲げている。これはある種のイノベーション。スタートアップを名乗っても悪くはないだろう。

「波平54歳」に衝撃…

 …と、都合よく若々しいことを考えていたのだが、先日、同じ1967年生まれのある建築家がSNSに「サザエさんの磯野波平は54歳」という情報を上げていて、衝撃を受けた。

磯野波平、54歳(模写:宮沢洋、オリジナルは長谷川町子)
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ヴェネチア・ビエンナーレ2021、日本館のモックアップを高田馬場「BaBaBa」で公開!

 「第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」が5月22日に開幕したことは既報のとおり(「1年遅れのヴェネチア国際建築展、「異例」の日本館はこうなった!」)。その日本館展示と連動する企画展「Dear Takamizawa House」が、東京・高田馬場のケーススタディスタジオ「BaBaBa(バババ)」で6月13日まで開催中だ。入場無料。

「Dear Takamizawa House」展の会場風景(写真:以下も長井美暁)
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越境連載「隈研吾の大ブレイクを読み解く」最終回:謎を解くカギは「繰り返しを恐れない」

日本の建築史上、最もお茶の間に浸透した建築家、隈研吾氏。その人気の背景には、ビジネスにも通じるヒントがある──。書籍『隈研吾建築図鑑』を執筆した元建築雑誌記者で現在は画文家の宮沢洋氏が、「隈研吾ブレイクの理由」を5回にわたって読み解く。第5回は「繰り返しを楽しむこと」について。(JBpress)

 多くの建築家と隈研吾氏はどう違うのかを5回にわたって書いてきた。今回は最終回だ。筆者個人として一番隈氏に学んだ点を最後に残しておいたので、それについて書く。

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代々木競技場が重要文化財内定、「世界初の二重の吊り構造」を世界一わかりやすく解説します!

 丹下健三が設計した国立代々木競技場(1964年竣工)が重要文化財となることが内定した。5月21日、文化審議会(佐藤信会長)が同競技場を重要文化財に指定するよう、萩生田光一文部科学相に答申した。第一体育館、第二体育館の2棟から成り、2棟とも答申した。答申通り告示されれば、重文の中で最も新しい建造物となる。

国立代々木競技場。「しんこう」2021年5月号のために描いたもの。以下も同じ(イラスト:宮沢洋)
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1年遅れのヴェネチア国際建築展、「異例」の日本館はこうなった!

 コロナ禍のため1年延期となっていた「第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」が5月22日から始まる。会期は11月21日までの半年間。国際交流基金は、5月20日~21日に行われる現地での関係者・報道関係者向け内覧会に合わせて、20日17時~18時(日本時間)に日本館に関するオンライン記者発表会を開催した。日本館(設計:吉阪隆正)の内部を資材置き場とし、屋外にインスタレーションをつくる「異例」の展示の様子がリポートされた。

日本館内部には、日本から移送された木造中古住宅(高見澤邸)の資材が、その増改築の変遷と居住者の歴史などと共に展示されている(撮影:国際交流基金、撮影日:2021.5.19)
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伊東、隈、佐藤可士和氏らの公衆トイレが夏までに完成、槇氏らの完成済み7件を一気見!

 日本財団(笹川陽平会長)は5月19日、「THE TOKYO TOILET」の新作トイレ6件が夏までに完成すると発表した。伊東豊雄、隈研吾、佐藤可士和 、NIGO®、小林純子、佐藤カズーの各氏がデザインを担当したものだ。既に完成している7件と合わせると、夏までに13件となる。

既に完成している「THE TOKYO TOILET」のトイレたち(写真:宮沢洋)
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池袋建築巡礼08:今夏で閉館の「池袋マルイ」、毎日見ても飽きない「白メシ建築」の謎を追う

 池袋西口のシンボルともいうべき「池袋マルイ」が今年8月で閉館する。池袋在住20年の筆者は、心の中でこの建築を「池袋の中央電信局」と呼び、「白メシのごとき名建築」と高く評価している。

(写真:宮沢洋、以下も)
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越境連載「建築シネドラ探訪」09:大笑いしながら男女格差を考える高度な建築コメディー「これが私の人生設計」

 フィクションの映画で「女性建築家」を描いた作品を初めて見た。それぞれのエピソードがリアルで面白い。そして、考えさせる。2016年に日本公開されたイタリアのコメディー映画「これが私の人生設計」だ。

(イラスト:宮沢洋)

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越境連載「隈研吾の大ブレイクを読み解く」04:低予算でも爪痕を残す隈研吾流ゆるふわブランド術

 本連載第1回で、隈氏は「国立競技場によって『国』を代表する建築家となったにもかかわらず、居酒屋だって設計してしまう」と書いた。今回、最初に取り上げるのは、その居酒屋である。筆者は勝手に“隈研吾の居酒屋三部作”と呼んでいる。最初は、JR吉祥寺駅北口から徒歩1分の「ハモニカ横丁」にある「てっちゃん」だ。

(イラスト:宮沢洋)

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プレキャスト架構で全長150mの「反復の美」、北海道科学大学D・E・F棟が全貌表わす

 小学生でも「SDGs」を語るこの時代に、「成長」や「可変性」に重きを置いたプロジェクトが注目されにくくなっているのは仕方がないことかもしれない。けれども、どうしてもこういう建築を見るとワクワクしてしまう。ル・コルビュジエが「無限成長美術館」を夢見たように、「将来の拡張しやすさを形にすること」は、建築のロマンの1つである。というわけで、この建築を見ていただきたい。

(写真:特記以外は宮沢洋)
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5月12日から再開!「オリガミ・アーキテクチャー」展@エークワッド勝手にベスト10

臨時休館となっていた「GALLERY A4」の「オリガミ・アーキテクチャー」展が5月12日から事前予約制で再開する。休館中にアップした記事を改めて公開する。予約などはこちらから。(2021年5月12日追記)

 ようやく時間ができて取材に行ったのだが、記事を公開しようと思ったら、臨時休館になってしまった…。でも、ステイホーム期間に建築旅行気分を味わっていただくのにちょうど良いかもしれないので、再開を待たずに記事を載せることにした。リポートするのは「オリガミ・アーキテクチャー 一枚の紙から世界の近現代建築を折る」展だ。

(写真:宮沢洋)
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いよいよ5月12日劇場公開! 森山大道が密着映画で見せた「生真面目さ」に共感、いつか建築写真集が見たい!

公開が延びていたドキュメンタリー映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』が、いよいよ5月12日から新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほかで順次公開となる。その参考に、昨年9月に試写会を見て書いた鑑賞記(コラム「日曜洋々亭17)を以下に再公開する。(2021年5月11日追記)

 このドキュメンタリー映画は冒頭、菅田将暉の独白で始まる。その人はずっと「憧れの人だった」と。誰が憧れの人なのか。緒形拳でも役所広司でもない。映画の主役は写真家の森山大道である。

 そして、菅田将暉だけでなく世界の写真好きが憧れる森山大道が、映画の中盤辺りでつぶやくこのセリフ。「そうか」「そうなのか」と、肩の力が抜ける感じがした。

(イラスト:宮沢洋)
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越境連載「クイズ名建築のつくり方」01:代々木競技場の大屋根が参考にしたのはどれ?

「建設業しんこうWeb」で新連載「クイズ 名建築のつくり方」(画・文:宮沢洋)が始まった。一般財団法人建設業振興基金が発行している月刊誌「しんこう」のウェブ版だ。連載初回は、「国立代々木競技場 第一体育館」を取り上げる。前回の五輪で世界が注目した独創的な大空間は、何と設計開始から3年弱で実現した。

Q.国立代々木競技場 第一体育館の大屋根をつくるに当たり、参考にしたものはどれ?
(1)1957年に公開コンペの結果が発表されたシドニーオペラハウス
(2)エーロ・サーリネンの設計で1958年に完成したイエール大学・ホッケーリンク
(3)1962年に開通し、「東洋一の夢の吊り橋」と称された福岡県の若戸大橋

答えと解説はこちらへ。

越境連載「隈研吾の大ブレイクを読み解く」03:じわりと依頼主の信頼を得る隈研吾の高度なコミュ力

 高知県に“隈研吾の聖地”ともいうべき町がある。愛媛県との境界にある「梼原(ゆすはら町)」だ。この町は、隈研吾氏のコミュケーション能力の高さを象徴する町である。本連載の第1回で、隈氏はバブル崩壊から10年間、地方の仕事ばかりしていたと書いた。梼原町はその時代に関係を持った地方自治体の1つだ。隈氏は2000年に栃木県の2つの建築(那珂川町馬頭広重美術館と石の美術館)で“復活”を果たすが、その約10年後、2度目のブレイクの舞台となったのがこの梼原町でのプロジェクト群だった。

(イラスト:宮沢洋)

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越境連載「隈研吾の大ブレイクを読み解く」02:丹下、黒川とは全く異なる隈研吾のコスパ感覚

 日本の建築史上、最もお茶の間に浸透した建築家、隈研吾氏。その人気の背景には、ビジネスにも通じるヒントがある──。書籍『隈研吾建築図鑑』を執筆した元建築雑誌記者で現在は画文家の宮沢洋が、「隈研吾ブレイクの理由」を5回にわたって読み解く。ビジネスサイト「JBpress」での短期連載。今回は、隈氏の「コスパ感覚」について。

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越境連載「建築シネドラ探訪」08:信長に認められた棟梁の乱心を描く?西田敏行主演「火天の城」

 映画「火天の城」は、織田信長の命を受けて、「安土城」の築城に挑んだ棟梁の物語である。「戦国時代の『プロジェクトX』」「第11回松本清張賞を受賞した歴史小説を完全映画化!」──。そんな触れ込みで、2009年に公開された。物語の面白さはさておき、「建築」の視点で見ると、正直、評価が難しい映画である。

(イラスト:、宮沢洋)

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越境連載「隈研吾の大ブレイクを読み解く」01:周回遅れの逆境が隈研吾を国民的建築家に押し上げた

 日本の建築史上、最もお茶の間に浸透した建築家、隈研吾氏。その人気の背景には、ビジネスにも通じるヒントがある──。書籍『隈研吾建築図鑑』を執筆した元建築雑誌記者で現在は画文家の宮沢洋が、「隈研吾ブレイクの理由」を5回にわたって読み解く。ビジネスサイト「JBpress」での短期連載。

(イラスト:宮沢洋)

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タワークレーンが20基以上、着工から1年の「北海道ボールパークFビレッジ」の現場を見た!

 話題のプロジェクトは建設段階から見たい(ツバをつけた気持ちになりたい)性分で、北海道北広島市の「北海道ボールパークFビレッジ」(HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE、以下Fビレッジ)の現場を見に行ってきた。「世界がまだ見ぬボールパーク」のキャッチコピーを掲げて建設が進む注目プロジェクト。最寄り駅は、新千歳空港と札幌の中間あたりにある北広島駅だ。駅に降りると、改札のすぐ前にこんなパネルが設置されていた。

(写真:宮沢洋、以下も)
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速報!群馬県沼田市で「NUMATA KUME DAY」開催、会場の一角でプチ宮沢画文展

 群馬県沼田市で4月17日(日)午後、旧久米邸洋館キックオフイベント「NUMATA KUME DAY」が開催された。そのイベント会場の一画に、画文家・宮沢洋(私)の作品パネルが展示された。自分について紹介するパネルって、初めて見た。かなり気恥ずかしい。でも、ちょっとうれしい。

(写真:宮沢洋、以下も)
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会期延長6月27日まで:大阪メトロもこの人!色部義昭氏監修の日本デザインセンター60周年展で「品の良さ」を考える

 日本デザインセンター東京本社(東京・銀座)で開催中の展覧会「VISUALIZE 60」(現在は「vol.2」)は、当初、今週金曜(4月16日)で終了予定だったが、密にならない環境で観覧してもらうために、会期を6月27日(日)まで延長する。入場無料、予約制。

 会期延長に伴い、原研哉氏、色部義昭氏、三澤遥氏によるギャラリーツアーも開催する。詳細はこちら。以下は「vol.1」開幕時のリポートなので、展示内容は異なる(2020年11月9日公開)。「vol.2」の想像を膨らませる参考に。

 日本デザインセンターが創業60年を機に企画した展覧会「VISUALIZE 60 Vol.1」が明日11月10日から東京・銀座の日本デザインセンター東京本社13階「POLYLOGUE(ポリローグ)」で始まる。展覧会のディレクターであるグラフィックデザイナーの色部義昭氏(日本デザインセンター取締役)に、ひと足早く会場を案内してもらった。

色部義昭氏。グラフィックデザイナー。日本デザインセンター取締役。1974年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、日本デザインセンターに入社。2011年より色部デザイン研究所を主宰。国立公園ブランディング、草間彌生美術館・市原湖畔美術館・天理駅前広場CoFuFun・須賀川市民交流センターtetteなどのVIとサイン計画を担当。「富山県美術館の目印と矢印」などの展覧会デザインなど、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開(写真:宮沢洋、以下も)
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日曜コラム洋々亭31:建築の寿命は何が決めるのか──前川國男、西沢文隆、丹下健三そして青木淳から考える

 前々回・前回と2回にわたって帝国ホテル東京の建て替えについて書いたので、しばらくこの手の話題はいいや、と思っていた。だがその後、立て続けにその手のニュースを耳にし、これらを知らない人もいるかもしれないので、さらりと紹介しておくことにした。今回の主役は、前川國男、西沢文隆、丹下健三、青木淳である。

(写真:宮沢洋、以下も)

 1つ目の話題は「東京海上ビルディング本館」(現・東京海上日動ビル)の建て替えである。大丸有周辺ではさまざまな再開発が計画されていて、私もいろいろな噂を聞いているが、この話は全く知らなかった。調べてみると、本当に東京海上日動が発表していた(リリースはこちら)。

「建築確認不許可」をきっかけに大景観論争

 いわずと知れた前川國男の代表作にして、唯一の超高層ビルだ。1974年竣工。常に“正義の味方”的なポジションだった前川が、どちらかというと“敵役”にされながら完成に至った。世を騒がせる大景観論争があったのである。ざっくりいうとこんな流れだった。

 1966(昭和41)年、丸の内の同じ場所に本社があった東京海上火災が、既存ビルを取り壊して、前川國男設計による超高層ビルの建築確認の申請をしたところ、東京都の建築主事がこれを不許可にした。前川の当初案は地上30階・127m。
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 当時、周囲の建物は建築基準法(昭和39年以前)の高さ制限などで「百尺」(31m)で高さがそろっており、かつ皇居内を見下ろせる高さであることから賛否の議論が巻き起こる。
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 1967年、都の「不許可」に対して東京海上が、都建築審査会に不服の審査請求を提出。審査の結果、都の建築主事が負ける。
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 しかし、佐藤栄作首相が「国民感情の上からも望ましくない」とコメントするなど、その後も揉め、1970年に地上25階・99.7m(約100m)にすることで落着。

   
 1974年2月竣工。
(経緯は東京大学都市デザイン研究室のサイトを参考にした)

 正義の男、前川國男が世論を敵に回してもつくりたいと思った超高層ビルが、建築として凡庸なものであるはずがない。そのすごさを書いていると連載になってしまうので、ここでは写真だけにしておく。おそらく前川は、22世紀までは軽く持つくらいに考えて設計したのではないか。

 東京海上日動のリリースにはこうある。「2021年12月から順次移転を開始し、2022年6月までに移転先(東京都千代田区大手町二丁目6番4号常盤橋タワー)への移転を完了する予定です。東京海上日動ビル・本館は 1974 年の竣工であり、災害対応力や環境性能等を一段と強化するとともに新しい働き方にも柔軟に対応していく観点から、新館と一体での建替えを予定しております。詳細については現在検討している段階であり、具体的な計画、スケジュール等は確定しておりません」

 つまり、三菱地所が建設中の「常盤橋タワー」(東京駅前常盤橋プロジェクトの小さい方、詳細はこちら)が完成すると、東京海上日動の本社が移り、現本館は新館とともに建て替えが始まる、ということのようである。うーむ……。

西沢文隆が「庭」にこだわった「ホテルパシフィック東京」

 四題噺なので、ちょっとペースを上げていこう。2つ目の話題は、品川駅高輪口の目の前に立つ「ホテルパシフィック東京」(現・京急イーエックスホテル および品川SHINAGAWA GOOS)の建て替えだ。これは今まで何度も取り壊しの噂があったが、ついに本決まりとなった。

 坂倉建築研究所の設計で、1971年に竣工。創設者・坂倉準三(1901~69年)の後を継いだ西沢文隆(1915~86年)が中心になった。外観もすっきりしてきれいだが、当時の「新建築」を読むと、西沢が特にこだわったのは庭園と建築との関係だったようだ。庭園の研究者でもあった西沢が、がっつり力を入れた広大な庭を記憶に刻もうと思って見に行ったのだが、ホテルは3月31日に閉館となり、敷地内には入れなかった。無念……。

手前のオレンジの屋根の建物は竣工当初はなかった

 京浜急行電鉄は、跡地にトヨタ自動車との共同で新ビルを建設する。完成予想図はこちらのリリ―スを参照。予想図を見ると、現在の庭園が残る気配はない。

旧・電通本社ビルも解体開始、丹下健三は何を思う?

 3つ目は、丹下健三が設計した築地の旧・電通本社ビル(1967年竣工)。これもしばらく使われておらず、取り壊しも時間の問題と思っていたが、ついに解体工事が始まる。工事看板によると解体工事期間は2021年4月18日~22年7月31日。

 敷地内には入れないが、プレキャスト部材の使い方の面白さは外からもよく分かる。

 この建築の詳細を知ろうと、1967年ごろの「新建築」を見てみたのだが、あれ、載ってない……。建築史家の藤森照信氏が丹下氏と共同で書いた大著「丹下健三」をめくってみても、ない。

 どちらも、載っているのは、有名な「築地計画・電通第1次計画案」の模型写真だけ。「新建築」には、丹下が「築地計画」について書いた長い解説文の最後に、さらりとこう書かれている。

 「この設計は着工直前の段階で中止となり、私たちは現在第2次案で工事中であるが、この変更は、(電通の)吉田社長死去後の、電通の組織の方針と変化が反映されたものであった」。

 よっぽど悔しかったんだろうなあ。丹下が生きていたら、解体は残念なのか、ほっとしているのか、どっちなんだろう。

青木淳氏への個人的期待

 そして最後は、少し趣を変えて最新の建築へ。ちまたで話題になっている「ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店」に、ついでに行ってみた。2021年3月20日オープン。外装設計は青木淳氏。おお、確かにすごいインパクト。

 私はネットで見て、この外装はリノベーションなのかと思っていた。2004年のリニューアル時の外装設計も青木氏のデザインだったからだ。調べてみると、建て替えだった。1981年に誕生した日本初の直営店を、約3年かけて建て替えたものだという。建築本体と外装の設計は、AS(旧・青木淳建築計画事務所)が担当。施工は清水建設が担当した。
 


 2004年のリニューアルの外装も独特だった。以前の並木通り店の外装は、ASのサイトで見ることができる。

 で、最後になぜこの話題を取り上げたのか。別に「40年で建物を壊すなんてもったいない」と言いたいわけではない。この規模の商業施設ならばやむなしなのだろう。私が注目したいのは、青木淳氏の外装のデザイン力だ。日本で商業建築の外装をデザインさせたら、ピカイチ。日本のジャン・ヌーヴェル、あるいはヘルツォーク&ド・ムーロンか。

 青木氏にはぜひ、超高層ビルの外装のリニューアルをやってほしいのである。日本でこれほど巨大ビルがあっけなく壊されるのは、リノベーションの成功例がほとんどないからだと思う。当然、超高層も外装をやり替えてはいるが、「前とイメージが変わった」「改めて行ってみたい」というものはほとんど思い浮かばない。

 これはちょっと言いすぎかもしれないが、「建築の寿命」は「元の形を守ろう」という意識が強すぎると、かえって短くなるのではないかという気がしている。「どんどん変えながら気楽に使おう」。そんな価値感の方が、結果的にはC02排出抑制につながるのではないかと、ぼんやりと思うのである。(宮沢洋)

関連記事:
日曜コラム洋々亭29:大丸有散歩で「人間のおろかさ」を愛おしむ──帝国ホテル建て替えに思う
日曜コラム洋々亭30:「人間のおろかさ」をヒューマンな都市づくりの原動力に──帝国ホテル建て替えに思う(後編)

栃木県初のPFIで梓・大成らの設計による巨大体育施設がオープン、「専兼の壁」は過去の話?

 かつて「建設会社設計部に就職する」ということは、「公共建築は一生設計しない」ということを意味した。私が日経アーキテクチュアに配属された30年前には、公共建築の設計発注には「専兼(せんけん)の壁」という高い壁があり、専業(設計事務所)と兼業(建設会社設計部)の活動領域は明確に分けられていた。かつては、こんな巨大な公共建築を、建設会社設計部の人に堂々と案内してもらうことは考えられなかったのである。

写真は4月3日の様子(写真:大成建設)
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越境連載「建築シネドラ探訪」07:「建築家は偏屈」という“半分真実”から生まれたリアルドラマ「結婚できない男」

 このドラマを見て、阿部寛という俳優が好きになった人は多いのではないか。筆者もその1人だ。今回、取り上げるのは、2006年に放映された「結婚できない男」。15年ぶりに全話見返してみたが、主人公である建築家・桑野信介の偏屈さは、阿部寛そのものではないかと思えてしまうほどはまっている。そして、文句なしに面白い。

(イラスト:宮沢洋)

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越境連載「池袋建築巡礼@JBpress」05:婦人之友社ビルがライト風?と思うのにはワケがある

 「池袋」「フランク・ロイド・ライト」といったら、思い浮かぶのは「自由学園明日館」(1921年、国指定重要文化財)だろう。我がOffice Bungaの事務所から徒歩十数分の住宅街にある“池袋の宝”だ。その南東側にライト風のオフィスビルがあるのをご存じだろうか。自由学園の講堂(設計:遠藤新)ではない。それは南西側。明日館を背にして左手の方にある3階建てのオフィスビルが今回の巡礼地だ。婦人之友社の本社ビルである。

(写真:宮沢洋)

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読んで損なし!これぞBUNGA NET的独自ニュース(自薦)・ベスト10

 「ここでしか読めない」or「どこよりも早い」──。私(宮沢)がBUNGA NETを立ち上げるに当たり、掲載基準とした2つのハードルである。小所帯のサイトだが、志は高い。サイト開設1周年を機に、前回は「読まれた記事ベスト10」を掲載した。今回は、「BUNGA NETらしい独自記事ベスト10」(宮沢自薦)を紹介したい。ベスト10内に順位はなので、公開した順番にいく。

〈1〉2020年3月2日公開
グッゲンハイムでAMO+コールハースの都市展が8月14日まで

(写真:宮沢洋、以下も)

 BUNGA NETが正式オープンしたのは2020年4月1日だが、スタート日にそれらしく記事が上がっている状態にするために、3月から(URLを誰にも知らせずに)記事をアップしていた。一番最初に書いたのがこの記事。2020年2月末にニューヨークのグッゲンハイム美術館で見たAMO+コールハースによる「Countryside, The Future」展のリポート。コロナの急拡大により開幕から3週間ほどで休館になった。初めて書いた記事なので、見出しのあおり方が弱いが、たぶん他では読めないリポート。

〈2〉2020年3月12日公開
この見え方は今だけの「クウェート大使館」、建て替え着手は否定

 これも正式公開前にアップしていたリポート。丹下健三の中ではあまり知られていない「クウェート大使館」が、「今、よく見えるぜ」という記事。それだけでは大手メディアは記事にしづらいが、こういう情報は、小回りが利くBUNGA NET向き。年間ベスト10にこそ入らなかったが、いまだにコンスタントに読まれている記事でもある。

〈3〉2020年4月28日公開
世界遺産ブラジリア写真ルポ01:遷都60年!ニーマイヤーの奇跡、三権広場へ

 会社を辞めて、ずっと見たかったオスカー・ニーマイヤーの建築群をブラジリアで巡った。「晴れ男」なので、空の濃さと日差しがすごい。ブラジルには2020年2月に2週間滞在(その頃はブラジルではコロナのコの字もなかった)。このブラジリア編以外に、サンパウロ編やリオデジャネイロ編も書けるのだが、それはいつか本気で書いて書籍にしよう。ブラジル、また行きたいなあ。

〈4〉2020年5月18日公開
7人の名言04:吉村順三「建築の勉強は実物を見なければダメだと思う」

(イラスト:宮沢洋)

 サイトを立ち上げるも、いきなり「緊急事態宣言」が発令され、内覧会も発表もなくなる。コンテンツに困って始めた企画の1つが「7人の名言」。その中で一番読まれたのが、吉村順三だった。2位は宮脇檀、3位は黒川紀章。林昌二(4位)を抑えての黒川紀章3位はちょっと意外だったので、黒川を読みたい人はこちら

〈5〉2020年6月28日公開
日曜コラム洋々亭08:祝!酒井一光本2冊同時発刊、本当のゴールは「売れること」

 BUNGA NETは、単なるブログではなく、ニュースサイトにしたいと思っていた。なので、スタートからしばらくは、「想い」や「よもやま話」は書かないようにしてたのだが、やっぱりそういうものが書きたくなってきて「日曜コラム洋々亭」を始めた。これは建築史家の故・酒井一光さんの本がクラウド・ファンディングで実現したという話。他のメディアでも取り上げられた話題ではあるが、出版社側目線で書いているのがこの記事のミソ。

〈6〉2020年7月8日公開
建築の愛し方01:世界初?「3つ折りタイプ」で折り紙建築に新風─五十嵐暁浩氏

(写真:五十嵐暁浩)

 実は、前職時代はあまり「インタビュー」(一問一答)という形式の記事が好きではなかった。それは、大手メディアのインタビューでは「旬の人」に「誰もが知りたい話」を聞かなければならないからで、はっきり言えば、アポさえ取れれば誰でも聞けるのである(もちろん聞き出すテクニックにうまい下手はあるが)。自分が本当に面白いと感じるインタビューは、そういうものではなくて、「あまり知られていない人」に「とにかく自分が聞きたい話」を聞くインタビューではないかと思って始めたのがこの「建築の愛し方」。ぼんやりと「いつかやろうと」と思っていたところに、五十嵐暁浩さんの折り紙建築のすごさを知り「今やろう」と思った

〈7〉2020年9月10日公開
建築の愛し方07:日本一の建築探訪サイト「うらくんのページ」、運営者はこんな人だった!

 そんな想いで始めたインタビューコラム「建築の愛し方」で、「いつか話を聞きたい」と思っていた人の最上位が「うらくん」さんだった。何本か記事の実績を積み上げたうえで、メールで依頼を送ってみると快諾! リアルな「うらくん」さんを知っているのは私だけ?

〈8〉2020年10月8日公開
池袋建築巡礼04:西口娯楽のシンボル「ロサ会館」、巨大なピンク外壁の理由が分かった!

 「池袋建築巡礼」はサイト開設時からの企画。なかでもお気に入りがこの「ロサ会館」。私は「保存運動」というものがあまり好きではなくて、それは壊されることが明らかになったところでいきなり所有者を悪者にする傾向があるから。この「ロサ会館」も遠からず建て替えの見込みだが、残っている間はその歴史を知り、建物を大事に使いましょうよ、というスタンスの記事。

〈9〉2021年3月2日公開
震災から10年、陸前高田は隈・伊東・内藤・丹下で「建築観光」にも注力

 震災10年のタイミングでBUNGA NETとして何を書くかを相当考えて、結局、あまり考えがまとまらないまま陸前高田を訪ねたら、始まったばかりのスタンプラリーに出会った。まさに、神の啓示。企画者である陸前高田市観光物産協会の方に、この記事をとても喜んでもらえたこともうれしい。

〈10〉2021年3月4日公開
分離派に注目07:モデル・女優・知花くららさん──時代のうねりのなかで声を上げた人たちがいた

知花くらら(ちばな・くらら):1982年生まれ。沖縄県那覇市出身。上智大学文学部教育学科卒業。2006年のミス・ユニバース世界大会で準グランプリに輝き、以降、各メディアで活躍。2013年から国連WFP(国連世界食糧計画)日本大使を務め、アフリカやアジアなど食糧難の地域の声を伝える活動を行う。2019年に初の歌集『はじまりは、恋』を出版。また同年から、大学の通信教育課程で建築を学ぶ(人物写真:栗原論 ヘアメイク:山口朋子 スタイリング:清水けい子)

 こんな小サイトにモデルで女優の知花くららさんが!! 「建築・都市・デザイン」という売りがあって良かった。そして、公開翌日の3月5日、知花さんは自身のインスタグラムで第2子の妊娠を発表。逆算すると、取材時もかなり体調悪かったのでは…。本当にありがとうございました! 前後編2本の記事ですが、個人的にはこの後編が好き。

 ということで、2年目も独自の記事を(マイペースで)発信していきますので、引き続きご愛顧のほどを。月イチのメルマガをご希望の方は下記に。(宮沢洋)

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戯れ言が現実に!日経ビジネスの高架下イラストルポが「Marketing Awards2021」でグランプリ

 1年前の今ごろ、「どうせやるならば、日経BPのMarketing Awardsで1番を目指しましょう」と笑いながら話していた。本音では「何かの賞の引っかかればいいな」とは思っていたものの、まさか本当にグランプリを取ってしまうとは……。

 日経BPが主催する「第7回日経BP Marketing Awards2021」で、ジェイアール東日本都市開発の企業広告が「グランプリ」を受賞した。3月30日に、日経BP社のウェブサイトや日本経済新聞紙上で発表された。

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祝1周年!BUNGA NET「読まれた記事」ベスト10

 2020年4月1日に正式スタートしたこの「BUNGA NET」。「小さな組織のWebサイトは更新が続かない」と忠告を受けつつも、生来のミーハー気質がそんな「Webあるある」に打ち勝ち、昨年4月~今年3月で計164本の記事を投稿した(外部寄稿者の投稿も含む)。

 1周年の区切りとして、1年間で読まれた記事(ページビュー数、いわゆるPV)ベスト10を発表する。世の中のサイトにはページビュー数を増やすために、ページ割りを細かくするサイトが少なくないが、BUNGA NETは長い記事でも1ページ(だから読みやすいでしょう?)。ページビュー順=実際に読まれた順である。

 10位から1つずつ上がるのはまどろっこしいので、1位からにしよう。なお、記事内に挿入したグーグルマップが、仕様変更により表示できなくなっているので、ご容赦いただきたい。

〈1位〉
東工大に隈研吾氏の丘状建築「Taki Plaza」竣工、さらに高まる建築濃度を写真ルポ
2020年12月14日

(写真:宮沢洋、以下も)
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日曜コラム洋々亭30:「人間のおろかさ」をヒューマンな都市づくりの原動力に──帝国ホテル建て替えに思う(後編)

 帝国ホテル本館を建て替えるというニュースを聞いて、日比谷公園脇の「帝国ホテル」から丸の内の「みずほ丸の内タワー・銀行会館・丸の内テラス」へと歩いてみた、というのが前回の記事だった。(日曜コラム洋々亭29:大丸有散歩で「人間のおろかさ」を愛おしむ──帝国ホテル建て替えに思う

 今回も、あまり好きではない「保存」という言葉を考えながら、大丸有(大手町・丸の内・有楽町周辺)を散歩する。

(写真:宮沢洋、以下も)
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