越境連載「池袋建築巡礼@JBpress」05:婦人之友社ビルがライト風?と思うのにはワケがある

 「池袋」「フランク・ロイド・ライト」といったら、思い浮かぶのは「自由学園明日館」(1921年、国指定重要文化財)だろう。我がOffice Bungaの事務所から徒歩十数分の住宅街にある“池袋の宝”だ。その南東側にライト風のオフィスビルがあるのをご存じだろうか。自由学園の講堂(設計:遠藤新)ではない。それは南西側。明日館を背にして左手の方にある3階建てのオフィスビルが今回の巡礼地だ。婦人之友社の本社ビルである。

(写真:宮沢洋)

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読んで損なし!これぞBUNGA NET的独自ニュース(自薦)・ベスト10

 「ここでしか読めない」or「どこよりも早い」──。私(宮沢)がBUNGA NETを立ち上げるに当たり、掲載基準とした2つのハードルである。小所帯のサイトだが、志は高い。サイト開設1周年を機に、前回は「読まれた記事ベスト10」を掲載した。今回は、「BUNGA NETらしい独自記事ベスト10」(宮沢自薦)を紹介したい。ベスト10内に順位はなので、公開した順番にいく。

〈1〉2020年3月2日公開
グッゲンハイムでAMO+コールハースの都市展が8月14日まで

(写真:宮沢洋、以下も)

 BUNGA NETが正式オープンしたのは2020年4月1日だが、スタート日にそれらしく記事が上がっている状態にするために、3月から(URLを誰にも知らせずに)記事をアップしていた。一番最初に書いたのがこの記事。2020年2月末にニューヨークのグッゲンハイム美術館で見たAMO+コールハースによる「Countryside, The Future」展のリポート。コロナの急拡大により開幕から3週間ほどで休館になった。初めて書いた記事なので、見出しのあおり方が弱いが、たぶん他では読めないリポート。

〈2〉2020年3月12日公開
この見え方は今だけの「クウェート大使館」、建て替え着手は否定

 これも正式公開前にアップしていたリポート。丹下健三の中ではあまり知られていない「クウェート大使館」が、「今、よく見えるぜ」という記事。それだけでは大手メディアは記事にしづらいが、こういう情報は、小回りが利くBUNGA NET向き。年間ベスト10にこそ入らなかったが、いまだにコンスタントに読まれている記事でもある。

〈3〉2020年4月28日公開
世界遺産ブラジリア写真ルポ01:遷都60年!ニーマイヤーの奇跡、三権広場へ

 会社を辞めて、ずっと見たかったオスカー・ニーマイヤーの建築群をブラジリアで巡った。「晴れ男」なので、空の濃さと日差しがすごい。ブラジルには2020年2月に2週間滞在(その頃はブラジルではコロナのコの字もなかった)。このブラジリア編以外に、サンパウロ編やリオデジャネイロ編も書けるのだが、それはいつか本気で書いて書籍にしよう。ブラジル、また行きたいなあ。

〈4〉2020年5月18日公開
7人の名言04:吉村順三「建築の勉強は実物を見なければダメだと思う」

(イラスト:宮沢洋)

 サイトを立ち上げるも、いきなり「緊急事態宣言」が発令され、内覧会も発表もなくなる。コンテンツに困って始めた企画の1つが「7人の名言」。その中で一番読まれたのが、吉村順三だった。2位は宮脇檀、3位は黒川紀章。林昌二(4位)を抑えての黒川紀章3位はちょっと意外だったので、黒川を読みたい人はこちら

〈5〉2020年6月28日公開
日曜コラム洋々亭08:祝!酒井一光本2冊同時発刊、本当のゴールは「売れること」

 BUNGA NETは、単なるブログではなく、ニュースサイトにしたいと思っていた。なので、スタートからしばらくは、「想い」や「よもやま話」は書かないようにしてたのだが、やっぱりそういうものが書きたくなってきて「日曜コラム洋々亭」を始めた。これは建築史家の故・酒井一光さんの本がクラウド・ファンディングで実現したという話。他のメディアでも取り上げられた話題ではあるが、出版社側目線で書いているのがこの記事のミソ。

〈6〉2020年7月8日公開
建築の愛し方01:世界初?「3つ折りタイプ」で折り紙建築に新風─五十嵐暁浩氏

(写真:五十嵐暁浩)

 実は、前職時代はあまり「インタビュー」(一問一答)という形式の記事が好きではなかった。それは、大手メディアのインタビューでは「旬の人」に「誰もが知りたい話」を聞かなければならないからで、はっきり言えば、アポさえ取れれば誰でも聞けるのである(もちろん聞き出すテクニックにうまい下手はあるが)。自分が本当に面白いと感じるインタビューは、そういうものではなくて、「あまり知られていない人」に「とにかく自分が聞きたい話」を聞くインタビューではないかと思って始めたのがこの「建築の愛し方」。ぼんやりと「いつかやろうと」と思っていたところに、五十嵐暁浩さんの折り紙建築のすごさを知り「今やろう」と思った

〈7〉2020年9月10日公開
建築の愛し方07:日本一の建築探訪サイト「うらくんのページ」、運営者はこんな人だった!

 そんな想いで始めたインタビューコラム「建築の愛し方」で、「いつか話を聞きたい」と思っていた人の最上位が「うらくん」さんだった。何本か記事の実績を積み上げたうえで、メールで依頼を送ってみると快諾! リアルな「うらくん」さんを知っているのは私だけ?

〈8〉2020年10月8日公開
池袋建築巡礼04:西口娯楽のシンボル「ロサ会館」、巨大なピンク外壁の理由が分かった!

 「池袋建築巡礼」はサイト開設時からの企画。なかでもお気に入りがこの「ロサ会館」。私は「保存運動」というものがあまり好きではなくて、それは壊されることが明らかになったところでいきなり所有者を悪者にする傾向があるから。この「ロサ会館」も遠からず建て替えの見込みだが、残っている間はその歴史を知り、建物を大事に使いましょうよ、というスタンスの記事。

〈9〉2021年3月2日公開
震災から10年、陸前高田は隈・伊東・内藤・丹下で「建築観光」にも注力

 震災10年のタイミングでBUNGA NETとして何を書くかを相当考えて、結局、あまり考えがまとまらないまま陸前高田を訪ねたら、始まったばかりのスタンプラリーに出会った。まさに、神の啓示。企画者である陸前高田市観光物産協会の方に、この記事をとても喜んでもらえたこともうれしい。

〈10〉2021年3月4日公開
分離派に注目07:モデル・女優・知花くららさん──時代のうねりのなかで声を上げた人たちがいた

知花くらら(ちばな・くらら):1982年生まれ。沖縄県那覇市出身。上智大学文学部教育学科卒業。2006年のミス・ユニバース世界大会で準グランプリに輝き、以降、各メディアで活躍。2013年から国連WFP(国連世界食糧計画)日本大使を務め、アフリカやアジアなど食糧難の地域の声を伝える活動を行う。2019年に初の歌集『はじまりは、恋』を出版。また同年から、大学の通信教育課程で建築を学ぶ(人物写真:栗原論 ヘアメイク:山口朋子 スタイリング:清水けい子)

 こんな小サイトにモデルで女優の知花くららさんが!! 「建築・都市・デザイン」という売りがあって良かった。そして、公開翌日の3月5日、知花さんは自身のインスタグラムで第2子の妊娠を発表。逆算すると、取材時もかなり体調悪かったのでは…。本当にありがとうございました! 前後編2本の記事ですが、個人的にはこの後編が好き。

 ということで、2年目も独自の記事を(マイペースで)発信していきますので、引き続きご愛顧のほどを。月イチのメルマガをご希望の方は下記に。(宮沢洋)

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戯れ言が現実に!日経ビジネスの高架下イラストルポが「Marketing Awards2021」でグランプリ

 1年前の今ごろ、「どうせやるならば、日経BPのMarketing Awardsで1番を目指しましょう」と笑いながら話していた。本音では「何かの賞の引っかかればいいな」とは思っていたものの、まさか本当にグランプリを取ってしまうとは……。

 日経BPが主催する「第7回日経BP Marketing Awards2021」で、ジェイアール東日本都市開発の企業広告が「グランプリ」を受賞した。3月30日に、日経BP社のウェブサイトや日本経済新聞紙上で発表された。

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祝1周年!BUNGA NET「読まれた記事」ベスト10

 2020年4月1日に正式スタートしたこの「BUNGA NET」。「小さな組織のWebサイトは更新が続かない」と忠告を受けつつも、生来のミーハー気質がそんな「Webあるある」に打ち勝ち、昨年4月~今年3月で計164本の記事を投稿した(外部寄稿者の投稿も含む)。

 1周年の区切りとして、1年間で読まれた記事(ページビュー数、いわゆるPV)ベスト10を発表する。世の中のサイトにはページビュー数を増やすために、ページ割りを細かくするサイトが少なくないが、BUNGA NETは長い記事でも1ページ(だから読みやすいでしょう?)。ページビュー順=実際に読まれた順である。

 10位から1つずつ上がるのはまどろっこしいので、1位からにしよう。なお、記事内に挿入したグーグルマップが、仕様変更により表示できなくなっているので、ご容赦いただきたい。

〈1位〉
東工大に隈研吾氏の丘状建築「Taki Plaza」竣工、さらに高まる建築濃度を写真ルポ
2020年12月14日

(写真:宮沢洋、以下も)
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日曜コラム洋々亭30:「人間のおろかさ」をヒューマンな都市づくりの原動力に──帝国ホテル建て替えに思う(後編)

 帝国ホテル本館を建て替えるというニュースを聞いて、日比谷公園脇の「帝国ホテル」から丸の内の「みずほ丸の内タワー・銀行会館・丸の内テラス」へと歩いてみた、というのが前回の記事だった。(日曜コラム洋々亭29:大丸有散歩で「人間のおろかさ」を愛おしむ──帝国ホテル建て替えに思う

 今回も、あまり好きではない「保存」という言葉を考えながら、大丸有(大手町・丸の内・有楽町周辺)を散歩する。

(写真:宮沢洋、以下も)
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池袋建築巡礼07〈未来編〉:にぎわいはサンシャインの先へ、造幣局跡地開発の総仕上げ──東京国際大学新キャンパス

 池袋にかなり詳しい人でも、サンシャイン60よりも東側に行ったことのある人は少ないのではないか。実は池袋に20年以上住む私にも、その辺りはうっすらとしか記憶がない。そのサンシャイン60の東隣、2016年まで造幣局東京支局があった一帯に、このようなものができる。

(資料:特記以外は大成建設一級建築士事務所)
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建築の愛し方12:象設計集団「御前湯」から始まった“建築打率10割”の自己分析──竹田市の首藤勝次市長(後編)

 孤軍奮闘で九州一の“建築天国”をつくり上げ、間もなく市長職を退任する大分県竹田市・首藤勝次市長の後編である。前編は、その“天国ぶり”のリポートで終わってしまった。

建築の愛し方11:わずか15年で九州一の“建築天国”をつくり上げた仕掛け人──大分県竹田市の首藤勝次市長

 本当に読んでほしいのは今回のインタビューである。話の皮切りは、前編には登場していないこの建物(↓)だ。長湯温泉に1998年に完成した「御前(ごぜん)湯」。設計は象設計集団だ。

まるでジブリのアニメのようなロケーションと外観(写真:宮沢洋、以下も)
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世界初・CLT折板構造の音楽ホールを速報! 隈研吾氏らによる桐朋学園仙川キャンパス第2弾が完成

 東京都調布市の京王線・仙川駅から南に徒歩10分ほど。桐朋学園仙川キャンパスの正門右手に、隈研吾都市建築設計事務所デザイン監修、前田建設・住友林業JV設計による木造の音楽ホール「桐朋学園宗次ホール」が完成し、3月22日午後に内覧会が行われた。構造設計は、稲山正弘東京大学大学院教授が主宰するホルツストラが監修した。

(写真:宮沢洋、以下も)
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日曜コラム洋々亭29:大丸有散歩で「人間のおろかさ」を愛おしむ──帝国ホテル建て替えに思う

 「帝国ホテル東京が建て替えの方針」と日本経済新聞などが3月17日に報じた。これは開発関係者の間では以前から話題になっていたことで、そのニュース自体は私も驚かなかったのだが、ほとんどのメディアが報じた大ニュースなのに、建て替え後の詳細がまるで語られていないことに驚いた。全くの白紙でこんな情報を書く(書かせる?)はずがなく、計画は相当進んでいるのだとは思う。だが、もしかするとこれは、「世論の反応を見たい」という意図のリーク記事かもしれないので、「世論の1人」として思うことをつらつらと書かせていただく。

(特記以外の写真:宮沢洋)
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建築の愛し方11:わずか15年で九州一の“建築天国”をつくり上げた仕掛け人──大分県竹田市の首藤勝次市長

 九州の現代建築の聖地、大分県竹田(たけた)市をご存じだろうか。竹田は名湯・長湯温泉があることで有名な地域なので、聖地よりも“天国”の方がしっくりくる。

(写真:宮沢洋、以下も)
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